フリーランスの仕事の分類
ひとくちにフリーランスと言っても、個々の事情や環境・働き方は異なるため、職種を体系的に分類するのは困難です。
そのためここでは、『一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会』による『プロフェッショナルな働き方・フリーランス白書 2018』に紹介されている分類に従い、フリーランスの仕事を3種類に分けて紹介します。この資料は厚生労働省のサイトに掲載されています。
出典:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会『プロフェッショナルな働き方・フリーランス白書 2018』
クリエイティブ系
デザイナーやイラストレーター、写真家など、自身のクリエイティブスキルやアイディアを武器に働くのが、クリエイティブ系と呼ばれるフリーランスです。
彼らがメインの仕事場とする広告業界やエンタメ業界は、昔から外部人材を積極的に活用してきたことで知られています。フリーランスとは馴染みが深く、現在も昔から続く人脈を使って仕事を依頼することが少なくありません。
コネが無いと働きにくい印象ですが、近年はクラウドソーシングを活用しての仕事発注も増えています。実力さえあれば、大手企業と契約するチャンスもあるでしょう。
ビジネス系
エンジニアやコンサルタント、士業など、専門的なビジネススキルと知識を持った人は、ビジネス系フリーランスに分類されます。
専門性の高いビジネススキルを持った人は、従来、企業や団体に属して各々の能力を発揮していました。しかし、近年は独立開業のハードルが低くなったことから、個人で企業と契約を結んで働く人が増えているのです。
スキルのある人は複数の企業と契約したり、専属契約を結んで企業に常駐したりすることも珍しくはありません。
職人系
美容師や講師、シェフなど、専門的な技能を持って働く人は、職人系フリーランスに該当します。
技能を活かして企業と契約を結ぶ人が多いですが、マッチングアプリなどの普及から、近年は直接顧客とやりとりするフリーランスも増えています。ハンドメイド作家やネイリストなど身近な分野の人気は高く、一定のスキルがあれば、比較的参入は容易でしょう。
フリーランスの仕事の取り方
フリーランスとして働くと、仕事の獲得も自身で行うことになります。どんなに高いスキルがあっても、それを発揮できる場がなければ収入は得られないでしょう。フリーランスが仕事を得るには、どのような方法があるのでしょうか。
過去の取引先や人脈
フリーランスが仕事を得る経路としては、過去の取引先や人脈を利用したものが最も多いと言われます。
1度でも仕事をして信頼を得れば、継続して声をかけてくれるクライアントは少なくありません。さらに信頼が高まれば、クライアントが他の顧客を紹介してくれることもあり、丁寧な仕事がさらなる仕事のきっかけとなるでしょう。
自身の営業活動
全くのゼロからだったりツテや人脈が無かったりする場合は、自身で営業活動を行う必要があります。一昔前の営業のように飛び込みでアタックする方法もありますが、実際に効果があるかどうかは不明でしょう。それよりは、セミナーや勉強会に参加して人脈を広げた方が効率がよいかもしれません。
また近年は、SNSやWebを介した営業活動が活発になっています。SNSでこまめに情報を発信したり、HPのコンテンツを充実させて有益な情報を提供したりすれば、顧客の目に留まる可能性は高まるでしょう。
加えて、直接仕事の依頼が来なくても、繋がった人から求人情報などが回ってくることもあります。SNSやWebを上手く使えば、有益な営業活動になるのです。
クラウドソーシングや求人サイト
営業活動が苦手でもすぐに仕事が欲しいという人は、クラウドソーシングや求人サイトを利用するという方法があります。
ただし、クラウドソーシングの案件は、一般的な案件と比較して単価が低めに設定されていることが多いです。誰でも参入できるという手軽さからライバルも多く、高単価・好条件の案件はよほどのスキルや実績がないと獲得しにくいでしょう。
一方、フリーランス用の求人サイトは、登録すれば担当エージェントが仕事を紹介してくれるという仕組みです。事前に条件などの聞き取りがあるため、希望に沿った案件を紹介してくれます。
ただし、求人サイトはクラウドソーシングよりも実績やスキルが重視されるため、まったくのゼロの状態では仕事の獲得は困難かもしれません。未経験者はまずクラウドソーシングで数をこなし、実績を積んでから求人サイトに登録することをおすすめします。
フリーランスがぶつかる壁
時間や場所にとらわれず、好きに働けるのがフリーランスの魅力です。しかし一方で、フリーランスならではのデメリットがあり、これに不安や不満を持つ人も少なくありません。フリーランスが直面しがちな問題とはどんなことなのでしょうか。
収入が安定しない
多くの人が『フリーランスのデメリット』と感じているのは、常に仕事を確保できる保証が無いことです。フリーランスは成果物を納品しなければ収入を得られないため、『仕事ゼロ』は『収入ゼロ』に直結します。
安定した収入のためにはコンスタントに仕事をこなす必要があり、『いかに仕事を獲得して収入を安定させるか』に頭を悩ませるフリーランスも多いでしょう。
スキル不足
自身のスキルで報酬を得ているフリーランスだからこそ、スキルの無さを痛感させられる場面は多いと言えます。
例えば、『仕事を請けたものの満足な仕上がりにならなかった』『スキル不足で案件応募を断念した』という経験があるフリーランスは多いでしょう。
スキルが上がらなければ十分な報酬を得ることは難しく、フリーランスとして立ち行かなくなる可能性があります。不安を払拭するためには自己研鑽を続け、できることを増やしていくしかありません。
フリーランスとして成功するコツ
企業や団体に属さないフリーランスは後ろ盾が無く、成功するか失敗するかは自身の肩にかかっています。フリーランスとして成功するには、どのような点に注意すべきなのでしょうか。
既存顧客を大切にする
安定して仕事を得るには、取引してくれる顧客と丁寧に付き合うことが大切です。
新規の顧客を開拓することはもちろん重要ですが、簡単ではないうえ、本業が疎かになる可能性があります。それよりは、今お付き合いのある顧客との信頼関係を深め、途切れずに仕事をもらえるようにしておく方が有益です。
顧客からの信頼を得られれば、他の顧客を紹介してくれたり、より好条件の案件を提示してくれたりなどのケースもあるでしょう。
人脈を広げる
「フリーランスになれば煩わしい人間関係から解放される」と考える人がいますが、実はフリーランスこそ人付き合いが重要になります。成功している人ほど幅広い人脈を持っていることから、人付き合いの重要性が分かるでしょう。
幅広い人脈を持つ人ほど、有益な情報にアクセスしやすくなります。加えて、仲間から仕事のヒントを得たり、ビジネスパートナーを見つけて事業規模を拡大したりすることも可能です。
フリーランスは、その気になれば狭い世界で1人黙々と働くこともできます。しかし、成功したいなら外へと出て、積極的に異業・同業を問わず知り合いの輪を広げていくべきでしょう。
自己管理をしっかり行う
フリーランスになれば、経営管理・スケジュール管理・体調管理といったすべてが自身の仕事です。
お金の管理がずさんなら確定申告でトラブルになりますし、スケジュール管理や体調管理を怠れば、成果物の納品に差し障りが出るでしょう。自己管理できなければ、報酬を得るどころか、損害賠償を請求されることにつながる可能性さえあるのです。
自由に働けることはフリーランスならではのメリットですが、その分、自身にかかる責任も重くなることを忘れてはいけません。
まとめ
フリーランスが広く認知されてきた現在、会社から独立して働く人も増えています。会社員時代よりも自己裁量で行える部分が増え、自由に仕事を選べるのがメリットです。
ただしフリーランスには、収入が不安定という一面があることも忘れてはいけません。スキルや実績が無い人が安易に会社を辞めても、仕事を得られないおそれがあります。
フリーランスとして独立することを考えている人は、目先のメリットにとらわれず、長い目で見ることが必要です。安定した収入を得られるスキルがあるか、人脈作りや営業活動は苦にならないかなど、まずはフリーランスになった場合をリアルに想定してみることをおすすめします。