グローバルWiFiがトップシェア!東証一部上場企業のビジョンが“副業CxO”を積極的に迎える理由

「グローバルWiFi®」をはじめとした革新的なサービスで情報通信業界を席巻する株式会社ビジョン。今回は同社営業本部コミュニケーション&マーケティングを管掌する四条理氏に海外WiFiレンタル利用者数No1(※)として知られるグローバルWiFi事業の歴史や、自社の今後の展望についてインタビューを敢行。東証一部上場企業であるビジョンがなぜ、“副業CxO”を積極的に求めているのかについても見解を伺った。

※「2018年海外用レンタルWiFiサービス(国内→海外)」のべユーザー数、売上高調査(東京商工リサーチ2019年7月31日調べ)

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グローバルWiFi事業は利用者数No.1

ビジョンといえば「グローバルWiFi®」の印象が強いのですが、まずは御社の事業内容から教えていただけますか?

四条理氏(以下四条氏):当社は「グローバルWiFi®」でお馴染みのグローバルWiFi事業と、情報通信サービス事業が主力になっています。特にグローバルWiFi事業は2012年に開始し、現在では海外WiFiレンタル利用者数No1の地位を確立しています。また、後半でも少し述べますが、新規事業にも積極的にチャレンジをしています。

御社は24年の歴史(創業1995年)がありますが、グローバルWiFi事業はまだ8年目なのですね!

四条氏:そうですね。当社は1995年に大手情報通信サービス企業から独立した代表が立ち上げた会社です。創業当初より各情報通信サービスや、その付随機器の販売代理店として事業を拡大してきました。

つまり「販売力=営業力」を強みに成長してきたのでしょうか?

四条氏:はい、代理店事業では大手ベンダーがリーチしきれていない中小企業にターゲットを定め、コピー機や法人携帯の販売を通じて、全国トップクラスの売上を誇る代理店にまで成長しました。

2005年頃からはインターネットでの集客・販売にも力を注ぎはじめ、「コピー機.com」や「法人携帯.com」「ヒカリ電話.com」など複数の自社メディアを立ち上げ、佐賀県にあるカスタマーサポートチームの立ち上げ運用などフォロー体制にも力を注ぎながら各オペレーションも強化し、独自のビジネスモデルを築いてきた歴史があります。

そこからどのようにグローバルWiFi事業へとつながっていったのでしょうか?

四条氏:業界トップクラスの営業力を誇る代理店にもなると、さまざまな会社から「自社の製品を販売してほしい」という引き合いが増えてきました。そんな中、ある企業から「2年縛りのUSB型Wi-Fiルーター」と格安PCをセット販売してほしいという依頼をいただいたのですが、私たちがそこに違和感を持ったのがキッカケです。

違和感、とは?

四条氏:同じく当時「2年縛り契約」として思い浮かぶのが携帯電話ですが、携帯電話はパーソナライズしやすい商材ですよね。好きなゲームをインストールしたり、好みのケースやストラップなどで装飾したり、一人ひとりのお客様が自分の好みにカスタマイズできます。

でも、Wi-Fiルーターってインターネットに接続するための機械で、パーソナライズ化するものではありません。それに当時は通信技術の発達が著しく、おそらく2年後にはそのWi-Fiルーターは古くなってしまい、「2年縛り契約」はお客様のためにならない気がするのが当社の考えだったんですよね。

そこで私たちがWi‐Fiルーターを一括で買い上げて、それを月や週単位など、お客様に用途に合わせて貸し出すことにしました。そうするとお客様は、Wi-Fiルーターが古くなっても廉価で必要な時だけ利用できますし、最新版が出たらそれに乗り換えていただくこともできますよね。そこで生まれたのが短期間だけ利用できるWi-Fiレンタルサービスの『e-ca』です。

なるほど。単に販売するだけでなく、お客様にとってベストな選択は何かを考えてサービスを生み出したのですね。ただ『e-ca』は国内向けですよね?

四条氏:それともう一つ解決したいことがありました。当時、スタートアップ企業などが私たちのクライアントに多かったのですが、携帯電話を現地の回線につないで利用したら、「驚くくらい高額な請求が来た......!」という声を耳にするようになりました。

そこで「私たちがそのような不満を解消しよう!」と発起し、海外用のWi-Fiレンタルサービスをはじめたのが現在のグローバルWiFi事業です。

なるほど。海外への渡航者は増え続けていますが、グローバルWiFiという新規事業が時代の流れにうまく順応できたイメージでしょうか?

四条氏:その一面もあると思います。ただ、私たちのビジネスの強みは創業時からそれほど変わっていません。

私たちは自前での大規模な通信設備は有しませんが、過去の実績に裏付けされた「営業力」と国内外の大手キャリアとの「ネットワーク」があります。

ですから私たちは、国内の大手ベンダー様から直接海外の大手ベンダー・通信会社様を紹介していただくことができ、直接契約をして回線を利用することができたのです。

たとえば、アメリカの大手通信会社とも直接契約なのでしょうか?

四条氏:そうです。私たちのお客様には国際ローミングによる遅延などのストレスが生まれやすいゲスト回線を提供するのではなく、現地の本帯域の一部を使った快適な環境を提供することが可能です。これが成り立つのは、当社ならではの強みであると自負しています。

つまり創業当初から培ってきた、情報通信の「営業力」や「ネットワーク」が下支えになって、グローバルWiFi事業で一気に伸びたと?

四条氏:はい、さらに近年ではその2点に加え、webマーケティングとカスタマーサポートを強みとして加えています。webマーケティングで集客数を伸ばし、契約後のお客様に関しては前述の佐賀にあるカスタマーサポートチームがフォローをしていくビジネスモデルを構築しています。

“副業CxO”を積極的に迎える理由

では、御社の今後の展望について教えてください。

四条氏:上場企業としての安定性をベースに、移ろいの速い市況において常に危機感を持ちながら、新しいチャレンジをスピーディに実行していきたいと考えています。

私たちは特定商材に依存せず、お客様に認めていただけれる価値を提供することに特化した企業なので、常にビジネスチャンスを模索しているんですよ。実は第3、第4の柱を生み出すべく、運送業や旅行業の免許を取得し、プロドラ(ProDrivers )という「ハイヤー事業」をスタートさせたところです。

外部人材には、そのような新規事業を上流からお任せしていくのでしょうか?

四条氏:もちろんそういった期待もあります。ただし、これまで各事業がそれぞれ成長を続けてきたため、今後は社内のインフラやデータ連携など、システムまわりの再整備をしていく必要があります。また、単なる整備だけでなく、コスト削減して経営にも還元していく必要もあります。

つまり、”守り”の部分を強化していくと?

四条氏:はい、当社には優秀なエンジニアはいるのですが、足元のインフラや既存事業ごとの個別のシステムの価値を高めることを優先的に対応しているのが現状です。事業個別のみでなく、経営層からの期待や要求を、全社ベースで戦略的に設計できる人材が不足していると認識しています。

そのため外部からでも、副業でも優秀な知見を集め、CxO相当の各機能を成立させられることの必要性を感じています。

副業ではなく、正社員採用でも良いのではないでしょうか?

四条氏:社員として採用となると、当社文化とのミスマッチ等のリスクに加えて、優秀な方の争奪戦に当社が勝ち抜くにはまだまだ不足している部分もあると感じています。副業であれば、すぐに外部の優秀な方とコミュニケーションしながら段階的に加わっていただけますし、その方もまずは部分的になど気軽にジョインいただけることのメリットも大きいと思います。

確かに互いにとってもリスクは少ないですよね。では、その方には具体的にどのような期待をしているのでしょうか?

四条氏:まずは当社とその課題を知っていただき、業務効率化やコスト削減など解決策について構想から一緒に進めていただきたいと思います。ただ、その先には自らで手を動かしてプロトタイプを作る。さらに咀嚼して「こういう視点があるよ」「こういう開発手法があって、コストはこのくらい必要だ」などとチームメンバーとしてより深くご参画いただきたいですね。

CxO人材を外部で求めているということは、副業に対して柔軟な考えをお持ちということですか?

四条氏:そうですね。べたっと当社に張り付いていただく必要はありません。週1回程度は対面でのミーティングをし、後はSlackやオンラインMTGなどで柔軟に対応していくという形でも良いと思っています。

実はすでにCDO(Chief Data Officer)機能についてのチーム組成を動かしはじめているのですが、中核を担うデータサイエンティストの方も外部委託なんです。webマーケティングなどでもこれまで膨大なデータが集まっていますので、それらの資産をガバナンスと照らし合わせ、今後の戦略設計や体制の強化を担っていただいています。

たとえば御社で外部CTOに就く面白みはとは何でしょうか?

四条氏:私たちは、安定した経営基盤と優秀なエンジニア、そしてこれまで生み出してきたサービスの販路を保持しています。いわば新事業を試す時に、それをすぐに実行できるノウハウと人材があります。

加えて、インフラ整備で生み出した社内ツールを製品化するなど、新規事業や新規サービスを大上流から生み出していける面白味もあります。ですので技術力はもちろん、「ビジネス脳」もしっかりお持ちの方と一緒に仕事をしてきたいですね。

御社の現状の開発体制について教えてください。

四条氏:当社のエンジニアは、「社内インフラ整備」「社内データ管理」「商品サービス開発」の3つに大きく役割が分かれており、人数は国内外全体で100名程度です。いずれも新しい何かを生み出すのではなく、CxOからの戦略を実行する部署となっています。

今後、副業としてジョインしていただく方には、この組織ともコミュニケーションし、今までにないシナジーや価値を自ら生み出していく一つの力となっていただけると嬉しいですね。

御社の既存事業やノウハウ、各種データ資産、人材など、点と点を結んでいくことができれば、面白そうですよね。

四条氏:はい、その辺をまずはアイデアを出し合いながら進めていきたいですね。

副業を通して、市場価値を高めてほしい

最後に四条さんご自身は副業という働き方について、どのようにお考えでしょうか?

四条氏:現在、優秀な人材(正社員採用)は企業間で奪い合いになっていますので、他社で活躍する人材を副業で迎えることは、今後の経営にとって重要な課題だと認識しています。また、ワーカー側にとっても、1社だけではなく、外部の会社でさまざな経験を積むことが市場価値を上げる方法だと思っています。

当社で副業をする場合、コスト削減や業務効率化などは地味な仕事かもしれませんが、どんな企業でも課題として抱えているので、この分野を最上流から経験していくことは、自身の価値向上にもつながっていくのではないでしょうか?

たしかに「社会に求めらるもの(=需要)」をいかに自分の技術で満たせるか、そしてそのスキルを積み上げていくことは貴重な経験ですよね。

四条氏:たとえば、各メディア等でメガバンクのエンジニアで基幹システムを入れ替えをするため、バベルの塔のような膨大な作業を追いかけているエンジニアもいれば、地方銀行で少数精鋭でクラウド移行の仕事をしているエンジニアもいるとお聞きします。

どちらも重要なお仕事だと思いますが、前者は大規模なプロジェクトの一作業者という位置づけになることもあり得ます。後者の場合には、成否を問わず自分の力が結果にどう寄与したのかという手応えを感じる機会がありそうですよね。

どの職種もそうであるように、エンジニアも市場で技術力を磨いて価値を高めていく職種だと思います。ただ、本業だけではどうしてもスキルアップの機会が制限されてしまうという場合もあるかと思いますので、副業を通じて新しい技術の習得や、社会からの需要に応えていくことは、今後ますます必要になっていくのではないでしょうか。

なるほど、「Offers」もそのようなキッカケの場になればと思います。本日はありがとうございました!

インタビュー:佐藤剛史
執筆:江積真貴子
編集:佐藤剛史/新留一輝
撮影:齋藤暁経

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