エンジニアの求人は多いと言われるのに、いざ応募すると書類で落ち続ける。転職を考えたエンジニアが、このずれに戸惑うことがあります。

公的統計では求人が求職者より多い一方、前年より求職者が増えて求人倍率は下がりました。難しさを感じる背景には、こうした競争の強まりに加えて、求人に応募できる経験の条件と、自分の経験の伝え方がかみ合っていないことがあります。公的統計と Offers に載る正社員求人をもとに、エンジニア転職が難しいと感じる理由と、年齢や年収の壁がどこにあるのかを確かめ、経験者が転職を成功させるための進め方をまとめました。

エンジニア転職が難しい理由は応募できる求人の少なさ

エンジニア転職が難しいと感じる理由の1つは、求人の総数は多くても、自分の経験で応募条件を満たせる求人が限られることです。公的統計の求人倍率は全職業より高い一方で、2026年8月は前年より下がり、求職者が増えています。Offers の正社員求人では約半数が必須条件に経験年数を書いており、求人は経験の範囲で絞られています。

公的統計の求人倍率は1.48倍で前年より下がった

厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」によると、情報処理・通信技術者の有効求人倍率(パートを除く常用)は1.48倍で、職業計の1.17倍を上回りました。ただし前年同月より0.10ポイント低く、有効求職者が5.8%増えたのに対して有効求人は0.9%減っています。

エンジニアの求人倍率として10倍を超える数字を見かけることがありますが、転職サービスが自社に登録された求人と求職者で数えた値は、ハローワークの求人と求職者を数える公的統計とは数え方が違います。どちらの数字でも、求人が求職者より多いことは同じです。違うのは、公的統計では求職者が増えて倍率が下がっている点で、応募する側の競争は前の年より厳しくなっていると読めます。

正社員求人の約半数が必須条件に経験年数を書く

Offers に載る正社員求人のうち必須条件を記載した求人で、必須条件に「3年以上」のような経験年数を書いている求人は49.2%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=3,261・2026年10月集計)。経験年数を書いた求人の64.6%は3年以上を求めています(同・n=1,606)。

必須条件の経験年数

割合(n=1,606)

1〜2年以上

35.4%

3〜4年以上

45.2%

5年以上

19.4%

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・必須条件に「N年以上」を書いた正社員求人・2026年10月集計。

求人票の「Go での開発経験3年以上」「チーム開発の経験2年以上」のような条件は、応募の入口で経験を絞り込みます。技術の名前を知っていても、実務で使った年数と範囲が条件に届かなければ、書類選考を通りにくくなります。

技術だけでなく役割の経験も問われる求人がある

Offers の正社員求人のうち、必須条件にマネジメントやチームのリード、メンバー育成に関する語がある求人は15.9%でした。職種を絞らない正社員求人での値で、プロジェクトマネジメントの語も含めた数です。技術力とあわせて、人や進行を動かした経験を応募の条件にする求人があります。

経験を積んだエンジニアほど、書類と面接で見られるのは「何の技術を使えるか」より「どの範囲を任され、何を決めてきたか」になります。担当した機能の一覧だけを並べた職務経歴書は、同じ技術を使う他の候補者と見分けがつかず、選考が進まない原因の1つです。

2025年の転職で賃金が増えた割合は50代で3割を下回った

厚生労働省の雇用動向調査で、2025年に転職で前職より賃金が増えた人の割合は、30代・40代では4割を超え、50代に入ると3割を下回りました。この指標が示すのは転職後に賃金が増えた人の割合で、採用のされやすさとは別の指標ですが、30代・40代でも転職で賃金が上がる人が一定数いることは読み取れます。30代・40代で問われるのは年齢そのものより、年齢に見合う経験の範囲を示せるかどうかです。

30代・40代の転職入職者は4割超が前職より賃金が増えた

厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」によると、2025年に転職した人のうち前職より賃金が増えた人は、30〜34歳で48.6%、35〜39歳で43.5%、40〜44歳で44.9%、45〜49歳で41.1%でした。50〜54歳では29.4%に下がり、賃金が減った人の割合が増えた人を12.6ポイント上回ります。

年齢階級

前職より賃金が増加した割合

20〜24歳

55.2%

25〜29歳

49.8%

30〜34歳

48.6%

35〜39歳

43.5%

40〜44歳

44.9%

45〜49歳

41.1%

50〜54歳

29.4%

55〜59歳

25.5%

出所: 厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」表6(2025年・全産業の転職入職者)。

この調査はエンジニアに限らない全産業の2025年の値です。30代・40代は20代(20〜24歳55.2%・25〜29歳49.8%)より低いものの、4割を超える人が転職で賃金を上げています。年齢を理由に転職をあきらめる前に見直したいのは、経験の伝え方です。

30代以降に問われるのは年数より任された範囲

30代以降のエンジニアが書類で落ちる場合、年齢よりも、求人が想定する役割と自分の経験の範囲が合っていないことがあります。30代の候補者には、「手を動かせるか」だけでなく、設計の判断や周りのメンバーとの進め方まで問う求人もあります。

年齢の不安を越えるには、担当した範囲をチーム・プロダクト・事業のどこまで広げてきたかを、規模と成果で示すことです。年代ごとの進め方は「30代のエンジニア転職で市場価値を高めるポイント」と「40代エンジニアの転職が難しい理由と成功のコツ」でも詳しく扱っています。

必須の経験年数が長い求人ほど年収の上限が高い傾向がある

Offers の正社員求人で、年収の上限を1,000万円以上に置く求人の割合は、必須の経験年数が長いほど、また必須条件にマネジメントの語がある求人ほど高い傾向があります(職種を区別しない集計)。経験年数が1〜2年以上の求人では28.1%、5年以上の求人では65.2%で、2倍を超える差があります(Offers(株式会社overflow)調べ・2026年10月集計)。

求人の必須条件

上限1,000万円以上の割合

経験年数1〜2年以上(n=566)

28.1%

経験年数3〜4年以上(n=715)

48.7%

経験年数5年以上(n=302)

65.2%

マネジメントの語あり(n=508)

66.1%

マネジメントの語なし(n=2,706)

43.9%

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人・2026年10月集計。

上限の高い求人ほど応募の条件が重く、経験の浅い候補者には応募できる求人が少なく見えます。年収を上げる転職が難しいと感じるのは、上限の高い求人が求める経験の量と、役割の大きさに届いていないときです。逆に、5年以上の実務経験やチームを率いた経験があれば、上限の高い求人も応募先の候補に入ります。

自分の経験年数と役割で応募できる求人がどれくらいあるかは、実際の求人票で確かめるのが早道です。Offers Jobs では、エンジニア・デザイナー・PdM の正社員求人を、職種や技術、年収の条件で探せます。

経験者のエンジニア転職を成功させる5つのステップ

経験者のエンジニア転職は、経験の棚卸し、求人票との突き合わせ、職務経歴書での見せ方、選考の準備、応募経路の使い分けの5つを順に進めると成功に近づきます。求人の必須条件で絞られる以上、応募の前に自分の経験が条件のどこに当てはまるかを確かめておくことが、書類選考を通る近道です。

1. 経験を範囲・規模・成果で棚卸しする

経験の棚卸しでは、使った技術の一覧より先に、担当した範囲・扱った規模・出した成果の3つを書き出します。たとえば「決済機能の設計から運用までを1人で担当」「月間利用者数十万人のサービスで外部連携の仕組みを改修」「障害対応の手順を作り、復旧までの時間を短くした」のように、範囲と規模と成果がそろうと、経験の重さが伝わります。

技術は、その経験の中で何を使ったかとして添える程度で十分です。実務で使った年数を技術ごとに数えておくと、求人の「N年以上」の条件と照らし合わせやすくなります。

2. 求人票の必須条件を自分の経験と1行ずつ突き合わせる

応募先を決める前に、求人票の必須条件を1行ずつ読み、自分の経験で満たせる行と満たせない行に分けます。満たせない行が経験年数の不足だけなら、近い経験を年数に含めて説明できるかが、次に確かめる点です。満たせない行が役割の範囲(マネジメント、設計の判断)なら、その求人は1段上の挑戦として扱い、応募の数を確保できる求人と分けて考えます。

求人票の歓迎条件は、入社後に任せたい仕事のヒントです。必須条件を満たしたうえで歓迎条件に当てはまる経験があれば、職務経歴書でその経験を前に出します。Offers Jobs で気になる求人の必須条件と歓迎条件を並べて読むと、自分の経験がどの求人に近いかを判断しやすくなります。

3. 職務経歴書で任された範囲を数字で示す

職務経歴書は、プロジェクトごとに役割・規模・成果を数字で書くのが基本です。チームの人数、担当した機能の数、処理件数や応答時間の改善など、読み手が規模を比べられる数字を入れると、同じ技術を使う候補者との差が見えます。

書き方の具体例は「エンジニア転職で差別化できる経歴書の書き方」が参考になります。

4. 技術面接とコーディングテストに備える

技術面接で問われやすいのは、過去の設計の判断について、なぜその選択をしたのか、ほかの案と比べて何を捨てたのかです。コーディングテストを課す企業もあるので、応募先の選考の流れを事前に確かめ、必要なら問題を解く練習の時間を取ります。準備の進め方は「コーディングテスト対策」を参照してください。

5. 応募経路を目的で使い分ける

応募経路は、求人を自分で探して応募する方法、転職エージェントに紹介を受ける方法、企業からのスカウトを受ける方法を、目的に合わせて使い分けます。自分で探す応募の強みは、必須条件を自分で確かめながら数を打てることです。エージェントは条件の交渉や選考の日程調整を任せやすく、スカウトは自分の経歴に関心を持った企業と話を始められます。

どの経路でも、プロフィールや職務経歴書に書いた経験の範囲が、受け取る求人の質を決めます。経歴の書き方を整えてから応募経路を広げれば、合わない求人に時間を取られずに済むはずです。

選考で落ちる段階によって見直す箇所が変わる

エンジニア転職がうまく進まないときは、書類選考・面接・条件のすり合わせのどの段階で止まっているかで、見直す箇所が変わります。書類で落ちるなら応募先と職務経歴書の組み合わせ、面接で落ちるなら経験の語り方、内定の前後で止まるなら希望条件の置き方を見直すのが近道です。

書類選考で落ち続けるなら応募先と経歴書の組み合わせを見直す

書類選考で落ち続ける場合、応募している求人の必須条件と、職務経歴書に書いた経験が合っていない可能性があります。応募した求人の必須条件を並べ、職務経歴書のどの行がそれぞれの条件に当たるかを確かめると、書いていない経験や、条件に届いていない求人が見えてきます。

経験はあるのに書いていない場合の対処は、職務経歴書に足すことです。条件に届いていない求人が多い場合は、応募先を経験年数や役割の近い求人に寄せ、届かない求人は数を絞って挑戦する枠にするのが現実的です。

面接で落ちるなら経験を判断と成果で語り直す

一次面接や技術面接で落ちる場合は、経験の中身よりも、伝え方に原因があることもあります。担当した作業を順に説明するだけでは、面接官は候補者が何を判断し、何を変えたのかをつかめないからです。

面接では、1つのプロジェクトについて、課題・自分の判断・ほかの選択肢・結果の4点を短く話せるように準備します。数字で示せる成果があれば、規模を比べられる形で添えると、面接官の印象に残りやすいはずです。

内定の前後で止まるなら希望条件の優先順位を決め直す

最終面接や条件の提示の段階で話が止まる場合、原因の1つは、年収や働き方の希望と企業が提示できる条件の幅のずれです。求人票の年収は幅で書かれるため、自分の経験が幅のどのあたりに当たるかを、選考の早い段階で確かめておくと、最後の段階で食い違いが起きにくくなります。

譲れない条件と、ほかの条件と引き換えにできる条件を分けておくと、提示された条件を比べるときに迷いません。

転職活動で避けたい3つの落とし穴

エンジニア転職を難しくする落とし穴は、現職を辞めてから動くこと、上限年収だけで応募先を選ぶこと、希望条件を最初から絞りすぎることの3つです。いずれも、選考に落ちたときの立て直しを難しくします。

現職を辞めてから転職活動を始める

現職を辞めてから動くと、収入が途切れる焦りから、条件の合わない求人に決めてしまうことがあります。選考の期間は企業によって幅があるため、在職中に応募を始め、内定が出てから退職の時期を決めるのが安全です。

上限年収だけで応募先を選ぶ

求人票の年収は下限と上限の幅で書かれることが多く、上限は経験と役割が最も大きい場合の金額です。上限だけで選ぶと、提示される年収が想定より下限に近くなることがあります。必須条件と歓迎条件のどこまでを満たすかで、自分に提示されそうな年収の位置を見積もってから応募先を選ぶのが確実です。

希望条件を最初から絞りすぎる

技術スタック、リモートワーク、年収、勤務地のすべてを満たす求人だけを探すと、応募できる求人がほとんど残らないことがあります。譲れない条件を2つか3つに絞り、ほかは面接で確かめる項目に回せば、比べられる求人の数は確保できるでしょう。

エンジニア転職の難しさを越えるための要点

エンジニア転職の難しさには、前年より求職者が増えて求人倍率が下がったことに加えて、求人の必須条件で応募先が絞られることと、経験の伝え方が条件とかみ合わないことが関わっています。公的統計では情報処理・通信技術者の求人倍率は前年より下がったものの全職業より高く、2025年は30代・40代でも転職で賃金が上がった人が4割を超えました。

難しさを越えるには、経験を範囲・規模・成果で棚卸しし、求人票の必須条件と1行ずつ突き合わせ、任された範囲を数字で示すことです。Offers の正社員求人では、必須の経験年数が長い求人やマネジメントの語がある求人ほど、年収の上限が高い傾向があります。自分がどの求人に届くのかを確かめるところから、転職活動を始めてください。