データベースエンジニアの年収は、設計・構築・運用のどこを担うかと、扱うデータベースの種類、そしてデータ分析基盤まで手を広げているかで差が出ます。公的統計はデータベースエンジニアを1つの職種として集計していないため、近い職種の統計と、データベース製品を挙げる正社員求人の年収帯を並べると、相場の幅と上を目指せる求人の条件が見えてきます。

経験を積んだデータベースエンジニアやSQL(データベースを操作するための言語)を主に書いてきたエンジニアにとって、知りたいのは平均値そのものより、今の年収が相場のどこにあり、次の転職でどこまで上げられるかです。統計と求人の両方から、その判断の材料を集めました。

データベースエンジニアの年収の目安

データベースエンジニアの年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の近い職種で見ると平均578.5万〜889.0万円、MySQL・PostgreSQL・Oracle・SQL Server のいずれかを挙げる正社員求人の提示年収で見ると下限の中央値540万円・上限の中央値900万円が目安です。

統計の値は、プログラマーや社内システムエンジニアを含む「ソフトウェア作成者」の578.5万円から、システムコンサルタントを含む「システムコンサルタント・設計者」の889.0万円までの幅です。データベースの運用と保守を主に担う人に近い「その他の情報処理・通信技術者」は609.8万円でした(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表をもとに編集部が年収を換算)。

求人の側では、4つのデータベース製品のいずれかを挙げる正社員求人のうち、提示年収の上限が1,000万円以上の求人は43.4%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=908・2022年3月〜2026年10月公開)。

求人の提示年収は幅で示され、採用時の額は経験と選考で決まります。経験者の転職では、下限と上限の両方を見比べることが判断の材料になります。

公的統計で見るデータベースエンジニアに近い職種の年収

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で、データベースエンジニアの仕事に近い3つの職種の年収は、企業規模計で「システムコンサルタント・設計者」889.0万円、「その他の情報処理・通信技術者」609.8万円、「ソフトウェア作成者」578.5万円でした。年収は、きまって支給する現金給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を足して編集部が換算した値です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表・男女計)。

職種(統計の区分)

企業規模計

1,000人以上

100〜999人

10〜99人

システムコンサルタント・設計者

889.0万円

1,010.4万円

854.3万円

585.1万円

その他の情報処理・通信技術者

609.8万円

639.4万円

621.4万円

523.2万円

ソフトウェア作成者

578.5万円

640.9万円

555.0万円

518.2万円

厚生労働省の職種の解説では、「システムコンサルタント・設計者」は顧客の業務を分析して情報システムを策定・提言する仕事や、システム全体の構成を企画する仕事を指します。「ソフトウェア作成者」はソフトウェアの仕様決定・設計・プログラミングの仕事を、「その他の情報処理・通信技術者」は構築されたシステムの安全性の確保を含めた維持・管理・保守の仕事を指し、サーバー管理者やシステム保守技術者が含まれます。区分ごとの説明は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査 職種一覧と解説」から引きました。

データベースを含めたシステム全体の構成を決めて提案する仕事は「システムコンサルタント・設計者」に、テーブル設計やSQLの実装を担う仕事は「ソフトウェア作成者」に、稼働中のデータベースの監視・バックアップ・障害対応を担う仕事は「その他の情報処理・通信技術者」に近いと編集部はみています。

同じデータベースを扱うエンジニアでも、構成を決める区分は他の2区分より年収が279.2万円以上高く、1,000人以上の企業では1,010.4万円でした。

年齢階級別に見た3つの職種の年収

年齢階級別では、「システムコンサルタント・設計者」が40〜44歳で1,189.0万円と1,000万円を超え、「ソフトウェア作成者」と「その他の情報処理・通信技術者」は45〜49歳でも700万円台でした(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第5表・男女計・企業規模計をもとに編集部が年収を換算)。

年齢

システムコンサルタント・設計者

ソフトウェア作成者

その他の情報処理・通信技術者

25〜29歳

641.6万円

484.7万円

452.7万円

30〜34歳

866.1万円

559.5万円

548.9万円

35〜39歳

968.1万円

636.0万円

604.1万円

40〜44歳

1,189.0万円

686.3万円

680.5万円

45〜49歳

1,226.3万円

729.2万円

702.2万円

構成を決める区分と他の2区分との差は、25〜29歳から40〜44歳にかけて大きく広がります。30代でデータベースの運用を続けている人が年収を上げるには、同じ仕事のまま年齢を重ねるより、データの持ち方や可用性の方針を決めて説明する設計の役割へ移る方が近道になると編集部はみています。

データベース製品別に見た正社員求人の年収帯

データベース製品ごとに正社員求人の提示年収を比べると、PostgreSQL を挙げる求人は上限の中央値が960万円で、MySQL の900万円、Oracle の801万円より高い位置にありました(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=2,943・2022年3月〜2026年10月公開)。

求人が挙げるデータベース

求人数

下限の中央値

上限の中央値

上限が1,000万円以上

PostgreSQL

495件

550万円

960万円

44.8%

MySQL

531件

530万円

900万円

36.0%

Oracle

222件

450万円

801万円

28.8%

MySQL・PostgreSQL・Oracle・SQL Server のいずれか

908件

540万円

900万円

43.4%

スキル情報を持つ求人の全体

2,943件

540万円

970万円

47.7%

製品の違いそのものが年収を決めるとは限りません。その製品を使う事業や、求人が任せる工程の違いが重なった数字として読んでください。

データベースの経験を求める正社員求人は、Offers Jobs のエンジニアの求人一覧で、求人ごとの年収・雇用形態・勤務地を見比べられます。

掲載の時期で変わるデータベース製品の割合

スキル情報を持つ正社員求人のうち PostgreSQL を挙げる求人の割合は、2024年以前に掲載された求人の14.8%から、2025年以降に掲載された求人では19.4%に増えました。MySQL は19.2%から16.2%に下がり、2025年以降は PostgreSQL が MySQL を上回っています(Offers(株式会社overflow)調べ・スキル情報を持つ正社員求人 n=2,992・2022年3月〜2026年10月公開)。

製品

2024年以前に掲載(1,820件)

2025年以降に掲載(1,172件)

PostgreSQL

14.8%

19.4%

MySQL

19.2%

16.2%

Oracle

6.9%

8.4%

MySQL を長く扱ってきた人は、PostgreSQL の運用経験を加えると、応募できる求人の幅が広がります。MySQL を挙げる求人の年収と転職の進め方は「MySQLエンジニアの年収と将来性|転職の進め方」で、Oracle の経験を活かす転職は「Oracleエンジニアの転職事情とスキル・求人の探し方」で扱っています。

データ分析基盤まで扱う求人の年収帯

データベース製品に加えて BigQuery・Snowflake・Redshift・Databricks のいずれかを挙げる正社員求人は、提示年収の下限の中央値が600万円、上限の中央値が1,000万円で、上限が1,000万円以上の求人は61.7%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=908・2022年3月〜2026年10月公開)。

求人が挙げる技術

求人数

下限の中央値

上限の中央値

上限が1,000万円以上

データベース製品と分析基盤の両方

120件

600万円

1,000万円

61.7%

データベース製品だけ

788件

530万円

900万円

40.6%

BigQuery や Snowflake は、業務のデータを集めて分析に使うためのデータウェアハウス(DWH)と呼ばれる製品です。アプリケーションのデータベースを設計・運用してきた経験は、分析基盤へデータを流す設計やデータの品質を保つ仕組みづくりにそのまま活かせます。

データベースと分析基盤の両方を求める求人は、データエンジニアの求人と重なる領域です。データエンジニアの年収の相場は「データエンジニアの年収|統計と求人で見る相場」で、公的統計と求人の年収帯から確かめられます。

データベースエンジニアが年収1,000万円に届く条件

データベースエンジニアが年収1,000万円を目指すには、データベースを含めたシステムの構成を決める設計の役割を担うこと、データベース製品に加えて分析基盤も挙げる求人を選ぶこと、データベースと分析基盤をまたいで設計してきた経験を示せることの3つが条件になると編集部はみています。

公的統計では「システムコンサルタント・設計者」の40〜44歳が1,189.0万円でした。求人では、データベース製品に加えて分析基盤も挙げる求人の61.7%が、提示年収の上限を1,000万円以上に置いています(いずれも前の節の統計と集計)。

提示年収の上限は求人が示す幅の上端で、上限が1,000万円以上の求人の割合は、1,000万円に手が届く求人をどこで探すかの目安として読んでください。運用を中心に担ってきた人は、設計の判断を任された経験を1つずつ積み、それを職務経歴書に書ける形にしておくことが、上の年収帯の求人に応募するための準備になります。

データベースエンジニアとSQLエンジニアの違い

データベースエンジニアはデータベースの設計・構築・運用・性能改善までを担う職種で、SQLエンジニアはSQLを使ったデータの抽出・加工・クエリの改善を主に担う人を指して使われる呼び名です。どちらも公的統計の独立した区分ではなく、求人でも「データベースエンジニア」「DBA(データベース管理者)」「バックエンドエンジニア」「データエンジニア」など、さまざまな職名の中で同じ技術が求められているのが実情です。

実務では両者の役割は重なります。SQLの書き方を改善してきた人がテーブル設計やインデックスの設計まで担うこともあれば、データベースエンジニアが分析用のSQLを書くこともあります。

求人の年収帯に差として表れるのは、職名よりも、どの工程を担ってきたかです。SQLの経験を活かした転職の進め方は「SQLエンジニアの転職事情と必要なスキル・求人の探し方」で扱っています。

データベースエンジニアの仕事内容と年収の差が出る工程

データベースエンジニアの仕事は、データの持ち方を決める設計、データベースを用意する構築、稼働中の監視と改善を続ける運用の3つに分かれ、公的統計の区分で見ると、構成を決める設計に近いほど年収が高い傾向です。

工程

主な仕事

近い統計の区分

設計

データモデリング、テーブル設計、インデックスの設計、可用性とバックアップの方針づくり

システムコンサルタント・設計者/ソフトウェア作成者

構築

データベースの導入、クラウドのマネージドサービスの構成、データの移行

ソフトウェア作成者

運用

監視、バックアップと復旧、権限管理、遅いクエリの調査と改善

その他の情報処理・通信技術者

運用の経験だけでも、遅いクエリを見つけて改善した件数や、障害からの復旧にかかった時間をどれだけ縮めたかは、設計の判断力を示す材料になります。日々の運用で何を判断してきたかを言葉にできるかどうかが、設計の役割へ移るときの分かれ目です。

データベースエンジニアの資格と2026年時点の試験の状況

データベースエンジニアが年収を上げるのに役立つ資格は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のデータベーススペシャリスト試験、オラクルの Oracle Database 認定資格(ORACLE MASTER)、OSS-DB技術者認定試験(OSS はオープンソースソフトウェア、DB はデータベースの意味)、マイクロソフトの Azure Database Administrator Associate などがあります。

このうち IPA のデータベーススペシャリスト試験は、2026年度はCBT(Computer Based Testing)方式で後期に実施され、2027年度から新試験制度に移行する予定です。

IPA の試験案内では、現行の試験制度は2026年度の試験実施をもって終了するとされています(IPA「データベーススペシャリスト試験」2026年7月6日更新)。受験を考えている人は、2026年度に現行制度で受けるか、新制度の内容を確かめてから受けるかを先に決めておくと計画が立てやすくなります。

資格

運営

2026年時点の構成

データベーススペシャリスト試験

IPA

2026年度はCBT方式で後期に実施。2027年度から新試験制度へ移行予定

ORACLE MASTER

オラクル

DBA 2019・Silver SQL 2019 などに加え、Oracle AI Database 26ai の Bronze DBA/Silver DBA/Gold DBA/Silver SQL

OSS-DB技術者認定試験

LPI-Japan

Silver と Gold がある。2023年2月1日リリースの Ver.3.0 は PostgreSQL 12〜14 に対応

Azure Database Administrator Associate

マイクロソフト

試験 DP-300 で認定

オラクルの認定資格の一覧はオラクルの「Oracle認定資格」に、OSS-DB の構成は特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)の「OSS-DB技術者認定試験 試験概要」に、Azure Database Administrator Associate の試験(DP-300)はマイクロソフトの「Microsoft Certified: Azure Database Administrator Associate」に載っています。

求人の側で PostgreSQL を挙げる求人の割合が増えていることを踏まえると、MySQL や Oracle を主に扱ってきた人には、OSS-DB で PostgreSQL の知識を体系的に押さえるのも1つの方法です。資格は年収を直接決めるものではなく、職務経歴書に書いた経験を裏づける材料として使うと選考で伝わりやすくなります。

データベースエンジニアが転職で年収を上げる進め方

データベースエンジニアが転職で年収を上げるには、扱った製品とデータの規模、設計で決めたこと、運用で改善した数字の3点を職務経歴書に書き、データベース製品と分析基盤の両方を挙げる求人と照らし合わせて応募先を選ぶ進め方が近道です。

職務経歴書には、次のような経験を具体的な数字と一緒に書きます。

  • 扱ったデータベース製品とバージョン、データ量、1秒あたりの処理件数
  • テーブル設計やインデックスの設計で決めたことと、その理由
  • 遅いクエリの改善で短縮した処理時間、移行や更新でかかった停止時間
  • レプリケーションやバックアップの方針と、障害時に復旧にかかった時間
  • 分析基盤へのデータ連携や、データの品質を保つ仕組みを作った経験

求人を読むときは、データベース製品が必須の条件に書かれているか、歓迎の条件にとどまるかを見ます。前の節のとおり、データベースと分析基盤の両方を挙げる求人は年収帯が高い位置にあるため、分析基盤の経験が少しでもあれば、職務経歴書の上の方に書いておくのが得策です。

提示年収の上限は求人が示す幅の上端で、採用時の額は経験と選考で決まります。今の年収と求人の年収帯を比べ、どの経験を足せば上の帯に届くかを見極めてから応募先を絞るのが、転職で年収を上げる手堅い順序です。

年収帯と必須の条件を見比べながら応募先を探すときは、Offers Jobs のエンジニアの求人一覧から、データベースやデータ分析基盤の経験を求める正社員求人を確かめられます。