Linux の経験は、インフラエンジニアだけでなく、SIer や金融機関のシステム開発、Web のバックエンドまで、幅広い職種の求人で求められています。一方で、Linux を求める求人の約7割は本文で AWS(Amazon Web Services)・Google Cloud・Azure のいずれかに触れていて、そのいずれかを必須条件に書く求人も4件に1件あります。

Linux の経験を活かせる求人がどこにあり、どの経験が評価されるのかを、実際の正社員求人の中身と公的統計から確かめられるようにしました。

Linuxエンジニアの仕事はサーバーと基盤の設計・構築・運用

Linux エンジニアは、Linux で動くサーバーやシステムの基盤を設計・構築し、運用と障害対応まで担うエンジニアです。職種名として Linux エンジニアと名乗る求人は少なく、インフラエンジニア・クラウドエンジニア・SRE(Site Reliability Engineering)・サーバーエンジニアなどの職種で、Linux の経験が条件として求められる形が一般的で、職種名だけでは Linux の求人を探しきれません。

主な仕事は次の5つです。

  • サーバーの設計・構築(OS の設定、ミドルウェアの導入、権限やネットワークの設定)
  • 運用と監視(リソースの監視、ログの確認、パッチの適用)
  • 障害対応(原因の切り分け、復旧、再発防止)
  • 構築と運用の自動化(シェルスクリプト、Ansible や Terraform などの構成管理)
  • オンプレミスからクラウドへの移行

扱うディストリビューション(Linux の配布形態)は職場によって違います。企業のサーバーでは Red Hat Enterprise Linux(RHEL)とその互換 OS、Ubuntu などが使われます。長くサーバー用途で使われてきた CentOS は、CentOS Linux 8 が2021年12月31日にサポートを終えています(The CentOS Project)。CentOS の運用経験がある場合は、後継の OS への移行を担ったかどうかも職務経歴に書ける材料になります。

Linuxを求める正社員求人の約半数はインフラ系以外の職種名

Offers で Linux を求める求人172件のうち、職種名に SRE・インフラ・クラウド・サーバー基盤などの語を含む求人は79件(45.9%)で、残りの93件(54.1%)はそれ以外の職種名でした。93件には【サーバー設計構築】や官公庁システムの運用・基盤領域など、職種名からインフラの仕事と読める求人も混ざり、これらを付け替えるとインフラ系以外は84〜87件(48.8〜50.6%)で、約半数です(Offers(株式会社overflow)調べ・n=172・2026年10月集計)。

インフラ系以外の求人には、SIer や証券会社・金融機関のアプリケーション開発、Web のバックエンドやフルスタックの開発、データ基盤の構築、プロジェクトマネージャーやテストの職種などがあります。Linux は、多くの職種で前提になるスキルとして求められています。

集計の対象は、Linux を必須か歓迎のスキルに挙げるか、必須条件の本文に Linux を含む、年収の記載がある正社員求人です(2023年10月〜2026年9月公開・募集を終えた求人を含む累計)。このうち118件(68.6%)は Linux を必須にしており、残りの約3割は歓迎にとどめています(必須条件の欄に混ざる「歓迎条件」などの節は除いて判定)。172件のうち55件は人材紹介会社のアカウントがまとめて載せた複数企業の求人で、残りの117件は72社の求人です。

求人を探すときに、インフラエンジニアや SRE、クラウドエンジニアといったインフラ系の職種名だけで絞ると、Linux の経験を活かせる求人の約半数を見落とす可能性があります。職種名の語で振り分けた概算ですが、探し方を考えるうえでは押さえておきたい傾向です。

Linuxエンジニアに近い統計区分の平均年収は約610万円

Linux エンジニアに最も近い公的統計の区分は「その他の情報処理・通信技術者」で、会社員(短時間労働者を除く一般労働者)の平均年収は609.8万円です。厚生労働省の調査用の早見表では、サーバー管理者・情報セキュリティ技術者・通信ネットワーク技術者がこの区分に入ります(厚生労働省「業種別主な職種早見表」)。

年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表」(企業規模10人以上・男女計)の毎月の給与(きまって支給する現金給与額)41.58万円の12か月分に、年間賞与など110.80万円を足した概算です。平均年齢は42.2歳でした。1,000人以上の企業に絞ると、年収換算は639.4万円です。

年齢別の年収は50代後半の777.8万円まで上がる

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第5表を編集部で年収換算すると、その他の情報処理・通信技術者の年収は25〜29歳の452.7万円から年齢とともに上がり、55〜59歳で777.8万円になります。

年齢

毎月の給与

年間賞与など

年収換算

25〜29歳

31.36万円

76.34万円

452.7万円

30〜34歳

37.30万円

101.34万円

548.9万円

35〜39歳

40.57万円

117.29万円

604.1万円

40〜44歳

45.65万円

132.66万円

680.5万円

45〜49歳

47.92万円

127.11万円

702.2万円

50〜54歳

49.86万円

126.19万円

724.5万円

55〜59歳

51.82万円

155.97万円

777.8万円

出所: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表」(2026年3月公表・企業規模計・男女計)を Offers Magazine 編集部が年収換算。

30代後半で約604万円、40代前半で約680万円が、同じ年代の平均の目安です。この区分には通信ネットワークの技術者なども含まれるため、Linux エンジニアだけの平均とは言えません。自分の年収と比べるための基準線として使ってください。年収の上げ方は「Linuxエンジニアの年収」でも扱っています。

Linuxの正社員求人は下限の中央値500万円・上限の中央値900万円

Offers に載る Linux を求める正社員求人では、提示年収の下限の中央値が500万円、上限の中央値が900万円でした。上限が800万円以上の求人は73.8%、1,000万円以上の求人は39.5%あります(Offers(株式会社overflow)調べ・Linux の正社員求人 n=172・2023年10月〜2026年9月公開)。

指標

Linux を求める求人

正社員求人全体

求人数

172件

3,257件

年収下限の中央値

500万円

540万円

年収上限の中央値

900万円

970万円

上限が800万円以上

73.8%

78.0%

上限が1,000万円以上

39.5%

47.6%

下限が600万円以上

28.5%

46.6%

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人・2026年10月集計(公開中と終了済みを含む累計)。

下限が600万円以上の求人は全体の46.6%に対して28.5%にとどまり、上限が1,000万円以上の求人も全体の47.6%に対して39.5%と少なめです。Linux を求める求人は、全体と比べて提示年収の幅が下に寄っています。また、172件のうち55件は人材紹介会社のアカウントがまとめて載せた複数企業の求人で、これを除いた117件では上限の中央値が800万円になります。

求人の上限は経験と役割が合えば出せる額で、応募者全員に提示される額ではありません。自分の経験で届く年収帯は、Offers Jobs で Linux を求める公開求人の下限と上限を見比べると確かめられます。

求人がLinuxと並べて求めるのはクラウドとネットワーク

Offers の Linux を求める正社員求人のうち、本文に AWS の語がある求人は66.3%、Python は41.9%、ネットワークは41.3%、Azure は37.2%です。AWS・Google Cloud・Azure のいずれかの語がある求人は70.9%ですが、いずれかを必須条件に書く求人は25.0%です(Offers(株式会社overflow)調べ・n=172・2026年10月集計)。

ただし、本文に語があることと、必須の条件として求められることは別です。必須条件の欄だけで数えると、AWS は22.7%、Docker は8.7%に下がります(欄に混ざる「歓迎条件」などの節は除いて数えています)。次の表は、本文のどこかにその語がある求人の割合(歓迎条件や開発環境の記載を含む)と、必須条件の欄にその語がある求人の割合を並べたものです。

照合した語は表の語そのものです。

ただし、AWS は「Amazon Web Services」、Google Cloud は「GCP(Google Cloud Platform)」、Kubernetes は略称の「k8s」とマネージドサービスの「EKS(Amazon Elastic Kubernetes Service)」「GKE(Google Kubernetes Engine)」、監視は「Datadog」「Prometheus」「Zabbix」「Grafana」、セキュリティは「security」の表記も含めて数えました。

会社紹介の「国や地域のネットワーク」のように、技術を指さない使い方は数えていません。

語

本文にその語がある求人の割合

必須条件にその語がある求人の割合

設計

87.2%

35.5%

AWS

66.3%

22.7%

Python

41.9%

11.0%

ネットワーク

41.3%

17.4%

Azure

37.2%

11.6%

セキュリティ

35.5%

9.9%

Docker

35.5%

8.7%

Google Cloud

32.6%

14.5%

監視

27.3%

6.4%

Kubernetes

23.8%

5.2%

Terraform

19.2%

4.1%

Ansible

19.2%

4.1%

CI/CD

18.0%

2.3%

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・Linux の正社員求人のうち本文(技術スタック欄を含む)と必須条件の欄にその語がある求人の割合・n=172・2026年10月集計。

必須条件で多いのは、設計(35.5%)、AWS(22.7%)、ネットワーク(17.4%)です。Linux に加えて必須条件に書かれやすいのは、AWS・Google Cloud・Azure のいずれかのクラウドと、ネットワークの知識や経験です。なお「設計」は語が出るかで数えたため、インフラの設計だけでなくアプリケーションの設計を書いた求人も含みます。

コンテナや構成管理(Docker・Kubernetes・Ansible・Terraform)は、必須条件に書かれる割合がいずれも1割に満たず、歓迎条件や開発環境の記載として出てくることが多い語です。持っていれば選考で有利に働く経験で、持っていなくても応募できる求人が多いと読めます。クラウドの経験を軸に転職を考えるなら「AWS転職」や「クラウドエンジニアの転職事情」も参考になります。

評価される経験は構築から自動化・障害対応まで自分で回した実績

Linux エンジニアの転職で評価されるのは、コマンドを使えることではなく、サーバーや基盤を設計し、構築・自動化・障害対応までを自分で回した実績です。Offers の Linux の求人でも、必須条件に「設計」を含む求人が35.5%あり、構築や運用の担当だけでなく、構成を決める側の経験が問われています(Offers(株式会社overflow)調べ・n=172・2026年10月集計)。

職務経歴書と面接では、次の4つを具体的に書けるようにしておくと、経験の厚みが伝わります。

  • 担当したサーバーの台数、利用者数やリクエスト数、扱ったクラウドのサービスといった規模
  • 冗長化や権限の設計、OS やミドルウェアの選定で何を決め、なぜそう決めたかという設計の判断
  • 手作業の手順をシェルスクリプトや Ansible・Terraform に置き換え、作業時間やミスをどれだけ減らしたかという自動化の成果
  • 大きな障害で原因をどう切り分け、再発防止に何を変えたかという障害対応の経験

オンプレミスからクラウドへの移行の経験も書く価値があります。Offers の Linux の求人のうち、本文に「オンプレ」の語がある求人は17.4%で、既存の環境を移す仕事が一定数あります。書類の組み立て方は「エンジニアの職務経歴書の書き方」で詳しく扱っています。

運用・監視の経験が長い人には、SRE への転身という選択肢もあります。SRE は運用の仕組みをコードで改善する役割で、Linux の知識と自動化の経験をそのまま活かせる仕事です。年収の水準は「SREの年収」で確かめられます。

Linuxの資格は求人の必須条件にほとんど書かれない

Linux の資格は、転職で経験の代わりにはなりません。

Offers の Linux を求める正社員求人のうち、LPIC(Linux Professional Institute Certification)か LinuC を本文に挙げる求人は7.0%(12件)、必須条件に書く求人は3.5%(6件)で、Red Hat の RHCSA(Red Hat Certified System Administrator)・RHCE(Red Hat Certified Engineer)を挙げる求人は0件でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=172・2026年10月集計)。

資格が役立つのは、実務で触れていない範囲の知識を示したいときです。たとえば Ubuntu の運用しか経験が無い人が RHEL を使う企業へ応募する場合、Red Hat の資格の基礎にあたる RHCSA(試験 EX200)は、RHEL の管理の知識を示す材料になります(Red Hat)。

経験者の転職では、資格の取得に時間を使うより、クラウドや自動化の経験を業務で積み、職務経歴書で説明できるようにする方が、求人の条件に合う近道です。資格ごとの内容は「Linuxの資格のおすすめ」でまとめています。

Linuxの求人は職種名より技術名で探す

Linux の経験を活かせる求人は、職種名ではなく「Linux」と、自分が扱ってきたクラウドや自動化の技術名を組み合わせて探すと見つけやすくなります。Linux を求める求人の約半数がインフラ系以外の職種名で出ているためです(Offers(株式会社overflow)調べ・n=172・2026年10月集計)。

探すときは、次の順で絞り込むと効率的です。

  1. 「Linux」と、AWS などのクラウド名で検索し、職種名を問わず候補を集める
  2. 必須条件の欄を読み、Linux 以外に求められている経験が自分の経歴に合うかを確かめる
  3. 年収の下限と上限を見て、今の年収と比べる

Offers Jobs では、会員登録なしで IT 職の公開求人を検索して求人ごとの提示年収を確かめられ、求人詳細の業務内容・必須スキル/経験・歓迎スキル/経験・選考フローも読めます。稼働時間・出社頻度などの概要表と、休日・休暇や社内制度は、無料の会員登録をすると読めます。

求人を見比べる際は、同じ「インフラエンジニア」でも、社内の基盤を持つ事業会社と、顧客の基盤を構築する SIer とでは、仕事の中身も年収の幅も違う点に注意してください。必須条件に書かれた技術と、開発内容の欄に書かれた担当範囲を読むと、入社後の仕事がどちらに近いかを判断できます。

Linuxエンジニアの転職の要点

Linux エンジニアに最も近い公的統計の区分であるその他の情報処理・通信技術者の平均年収は、令和7年賃金構造基本統計調査の年収換算で609.8万円です。Offers の Linux を求める正社員求人では、提示年収の下限の中央値が500万円、上限の中央値が900万円でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=172)。

Linux を求める求人の約半数はインフラ系以外の職種名で、本文に AWS・Google Cloud・Azure のいずれかの語がある求人は70.9%です。資格よりも、クラウドの環境で設計から構築・自動化・障害対応までを担った経験を職務経歴書で示すことが、転職で評価される近道です。まずは自分が扱ってきた技術の名前で求人を探し、必須条件と年収帯を今の経歴と比べるところから始めてください。