エンジニアが転職を考えるとき、TOEIC(英語のコミュニケーション能力を測る世界共通の試験)の点数を取ってから動くべきかで迷う人は少なくありません。実際の求人を読むと、点数を応募の条件に挙げる企業は一握りで、英語に触れる求人の多くは「英語での会話」「ビジネスレベルの英語」「英語のドキュメントを読める」のように、英語を使う場面で条件を書いています。

英語に触れる求人は、提示年収の上限が高い側に寄っているのも特徴です。Offers に載る正社員求人を集計し、英語に触れる求人の割合と年収帯、求人が書く英語の中身を確かめたうえで、企業が期待するスコアの公表値と並べ、英語の経験を転職でどう伝えるかをまとめました。

エンジニアの転職でTOEICの点数が問われる範囲

エンジニアの転職でTOEICの点数が問われるのは一部の求人に限られ、Offers に正社員求人を載せた企業468社のうち、TOEICに触れる求人を出した企業は5社(1.1%)でした(Offers(株式会社overflow)調べ・人材紹介会社のアカウント2件を除いた正社員求人の掲載企業 n=468・2022年3月〜2026年9月公開・2026年10月集計)。5社のうち、点数を応募の条件や目安として書いた企業は4社で、残る1社の求人は英語学習アプリの開発内容としてTOEICに触れたものです。英語そのものに触れる求人を出した企業は71社(15.2%)あります。

英語に触れる求人の70.3%は、会話・ビジネスレベル・読み書きといった英語を使う場面の言葉で条件を書いており、TOEICの点数を条件や目安として書く求人は2.9%にとどまりました(Offers(株式会社overflow)調べ・人材紹介会社の求人を除いた英語に触れる正社員求人 n=172・2026年10月集計)。

英語力が年収と無関係というわけでもありません。英語に触れる求人は提示年収の上限の中央値が1,000万円で、触れない求人の910万円より高い位置にありました(Offers(株式会社overflow)調べ・年収記載のある正社員求人 n=3,257・2026年10月集計)。ただし同じ掲載元の求人どうしで英語に触れる求人と触れない求人を比べると、年収の差ははっきりしません。英語を使う環境の企業に年収帯の高い求人が多い、と読むのが実態に近いと編集部は考えています。

TOEICの点数は、英語の素地を示す補助の材料としては役に立ちます。一方で、英語を使う求人で評価の中心になるのは、英語で何の仕事をしてきたかです。

Offersの正社員求人で英語に触れる割合

Offers に載った正社員求人のうち、本文に英語に関する語が出てくる求人は16.4%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・公開中と募集を終えた正社員求人 n=3,308・2022年3月〜2026年9月公開・2026年10月集計)。英語に触れる求人の68.2%は、1つの人材紹介会社のアカウントが2024年7月にまとめて掲載した求人(大手SIer・電機メーカー・金融機関など複数の採用企業の求人)です。他社の求人を代わりに載せるもう1つのアカウント(英語に触れる求人は0件)とあわせて人材紹介会社のアカウント2件の求人を除くと、割合は7.0%まで下がります。2026年10月1日時点で公開中の求人940件に限ると4.5%で、28社の求人に分かれており、人材紹介会社がまとめて掲載した求人は公開中の中に含まれていませんでした。

数えたのは、求人の題名・概要・必須要件・歓迎要件・開発内容のどこかに「英語」「英会話」「英文」「English」「TOEIC」「TOEFL(Test of English as a Foreign Language)」の語が出てくる割合です。掲載前の下書きの求人は数えていません。1つのアカウントが多くの求人を出すと割合が大きく動くため、下の表には企業単位の割合も並べました。

数えた範囲

母数

英語に触れる

TOEICに触れる

正社員求人の全体

3,308件

16.4%

3.3%

人材紹介会社のアカウント2件の求人を除いた求人

2,452件

7.0%

0.2%

2026年10月1日時点で公開中の求人

940件

4.5%

0.2%

正社員求人を掲載した企業(人材紹介会社のアカウント2件を除き、該当する求人を1件以上出した企業)

468社

15.2%

1.1%

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・正社員求人の本文に各語を含む割合・2022年3月〜2026年9月公開・2026年10月集計。

英語に触れる求人のうちTOEICにも触れる求人は、全件では20.1%ですが、109件のうち103件は人材紹介会社がまとめて掲載した求人で、それを除くと3.5%(6件)、企業の数では71社のうち5社です(Offers(株式会社overflow)調べ・2026年10月集計)。6件のうち1件は英語学習アプリの開発内容としてTOEICに触れた求人で、TOEICの点数を応募の条件や目安として書いた求人は5件(4社)でした。英語を使うポジションを探すときにTOEICの点数を条件にした求人だけを追うと、英語に触れる求人の大半を見落とすことになります。

英語は必須より歓迎の条件に書かれることが多い

人材紹介会社の求人を除くと、英語に触れる求人のうち英語を必須の条件に書く求人は31.4%で、歓迎の条件にだけ書く求人が56.4%と多数を占めました(Offers(株式会社overflow)調べ・人材紹介会社の求人を除いた英語に触れる正社員求人 n=172・2026年10月集計)。概要や開発内容にだけ英語が出てくる求人も12.2%あります。必須要件の欄の中に【歓迎条件】のような見出しを立てて歓迎の条件を続けて書く求人があるため、その見出しより後ろは歓迎の条件として数えました。

除いた人材紹介会社の求人369件も、英語を必須の条件に書く求人は39.3%で、歓迎の条件にだけ書く求人が59.6%でした。英語に触れる求人541件の全体でも、必須の条件に英語がある求人は36.8%です(Offers(株式会社overflow)調べ・2026年10月集計)。

英語を応募の条件に置く求人は英語に触れる求人の3分の1ほどにとどまり、残りの多くは英語ができれば望ましいという扱いです。大手SIerや金融機関などの求人を人材紹介会社がまとめて載せた分でも、この傾向は変わりませんでした。必須要件の欄の後半に歓迎の条件が続く求人や、一文に「歓迎」「望ましい」と添える求人もあるので、応募の前に見出しと一文ずつを読み分けておくと、自分の英語力で届く求人の範囲を正確につかめます。

英語に触れる求人の年収帯

英語に触れる正社員求人は、提示年収の下限の中央値が600万円、上限の中央値が1,000万円で、英語に触れない求人の540万円〜910万円より高い位置にありました(Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人 n=3,257・2026年10月集計)。上限が1,000万円以上の求人の割合も、英語に触れる求人の57.9%に対し、触れない求人は45.6%です。

求人での英語の扱い

母数

下限の中央値

上限の中央値

上限が1,000万円以上

英語に触れる

522件

600万円

1,000万円

57.9%

英語に触れない

2,735件

540万円

910万円

45.6%

全体

3,257件

540万円

970万円

47.6%

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・年収の下限と上限を記載した正社員求人・n=3,257・2026年10月集計。

英語に触れる求人には人材紹介会社がまとめて掲載した求人が多く入っているため、偏りを2つの方法で確かめました。人材紹介会社のアカウント2件の求人を除いても、英語に触れる求人は下限600万円・上限1,000万円、触れない求人は509.5万円・900万円で、上限が1,000万円以上の割合は68.6%と44.2%でした(同調査・人材紹介会社の求人を除いた年収記載のある求人 n=2,426)。掲載元ごとの中央値を取って比べても、英語に触れる求人を持つ72の掲載元は600万円・1,000万円、触れない求人を持つ445の掲載元は500.5万円・900万円で、向きは変わりません。

一方で、英語に触れる求人と触れない求人の両方を出している掲載元ごとに比べると、英語に触れる求人の方が上限が高いもの、同じもの、低いものに分かれ、はっきりした差は見られませんでした(同調査)。英語を書くこと自体が年収を押し上げるというより、海外のメンバーや顧客と仕事をする企業に年収帯の高い求人が多いとみるのが自然です。職種や経験年数を揃えた比較ではないため、ここは編集部の見立てとして読んでください。

英語を使う求人で自分が届く年収帯を知るには、求人ごとの下限と上限を見比べるのが確実です。Offers Jobs では、会員登録なしで IT 職の正社員の公開求人を検索し、求人ごとの必須条件・歓迎条件と提示年収を確かめられます。

求人が求める英語の中身

求人が求める英語の中身は、TOEICの点数よりも、会話・ビジネスレベル・読み書きといった英語を使う場面の言葉で書かれていました。英語に触れる正社員求人では、英語での会話・コミュニケーションを書く求人が43.6%で最も多く、ビジネスレベルの英語が29.7%、英語のドキュメントの読み書きが22.7%で、TOEICの点数を条件や目安として書く求人は2.9%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・人材紹介会社の求人を除いた英語に触れる正社員求人 n=172・2026年10月集計)。

求人での英語の書き方

書き方の例

英語に触れる求人に占める割合

会話・コミュニケーション

英語での会話、日常会話レベルの英語、英語でのコミュニケーションが可能

43.6%

ビジネスレベル

ビジネスレベルの英語力、ビジネス英語、Business level English

29.7%

読み書き・文書

英語ドキュメントの読解、英語で記述された技術文書の理解、英語の読み書き

22.7%

TOEIC

TOEICの点数を条件や目安として書く

2.9%

上の4つに当たらず、英語力などとだけ書く

英語力、英語を使用した実務経験、英語に抵抗がない

19.2%

英語の条件ではない記述だけ

福利厚生の英会話レッスン補助、英語学習サービスの事業説明

10.5%

出所: Offers(株式会社overflow)調べ・英語に触れる正社員求人の本文の語を編集部が分類・n=172・2026年10月集計。

書き方は、英語の語のすぐ前後に並ぶ言葉で編集部が分けました。「会話」「コミュニケーション」「やり取り」「ミーティング」と「英会話」は会話・コミュニケーション、「ビジネスレベル」「ビジネス英語」「流暢」「ネイティブ」はビジネスレベル、「読み書き」「読解」「ドキュメント」「文書」「文献」と「英文」は読み書き・文書に数え、当たった文字列と、どれにも当たらなかった求人の本文を目で確かめています。

福利厚生の英会話レッスン補助、英語学習サービスの事業説明、自然言語処理や文字認識の対象言語として英語が出てくるだけの求人は、英語の条件ではない記述として最後の行に分けました。上の4行は1件の求人が複数に当たることがあるため割合に重なりを含み、下の2行は上の4つのいずれにも当たらない求人を分けたものです。英語に触れる求人の7割近くを占める、人材紹介会社がまとめて掲載した求人は、1つのアカウントが載せた求人で表全体を左右してしまうため、この表から外しています(Offers(株式会社overflow)調べ・2026年10月集計)。

英語に触れる求人の48.8%は、海外・グローバル・外国籍・多国籍・オフショアといった語も一緒に書いていました(Offers(株式会社overflow)調べ・人材紹介会社の求人を除いた英語に触れる正社員求人 n=172・2026年10月集計)。事業の海外展開に触れるだけの求人も含む値ですが、海外の拠点やメンバーと働くことが分かる求人では、英語の試験の結果より、その相手と仕事を進められるかが問われると編集部はみています。英語の経験を伝えるときも、点数だけを示すより、誰とどんな場面で英語を使ってきたかを書く方が、求人の書き方と対応します。

企業が期待するTOEICスコアとSE職の平均スコア

企業が技術部門に期待するTOEIC L&Rのスコアの平均は560点、中途社員に期待するスコアの平均は580点と、IIBC(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)の相関表に示されています(IIBC「Proficiency Scale(TOEIC L&Rスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表)」・2024年7月)。上場企業を対象にした2022年の調査にもとづく値で、期待の幅は技術部門が470〜650点、中途社員が480〜685点です。

区分

企業が期待するスコアの平均

期待の幅

技術部門

560点

470〜650点

営業部門

580点

475〜680点

海外部門

705点

605〜805点

中途社員

580点

480〜685点

新入社員

550点

460〜640点

出所: IIBC「Proficiency Scale(TOEIC L&Rスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表)」(2024年7月)。

期待の幅は、調査の中心値から標準偏差1つ分を上下に取った範囲を IIBC が仮定して示したものです。海外部門への期待が705点と最も高く、技術部門への期待は5つの区分の中で新入社員に次いで低い位置にあります。

SEの受験者のTOEIC L&R平均スコア

TOEIC L&Rの2025年度の公開テストで、職種をSE(システムエンジニア)と答えた社会人の受験者21,186人の平均は636点で、社会人の受験者全体の649点をやや下回りました(IIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026」・2026年7月)。会社や団体がまとめて実施する IP(Institutional Program)テストでは、SEの受験者33,912人の平均が542点です。

対象(2025年度)

受験者数

平均スコア

公開テストの社会人全体

308,493人

649点

公開テストの社会人のうち職種がSE

21,186人

636点

公開テストの社会人のうち職種が技術

46,755人

599点

IP テスト(企業・団体)のうち職種がSE

33,912人

542点

出所: IIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026」(2026年7月)。

公開テストは IIBC が定めた日時と会場で受ける試験で、IP テストは企業や団体が日時と場所を決めて実施する試験です(IIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026」)。受け方が違うため、同じSEでも平均点の水準に差が出ています。公開テストを受けたSEの平均636点は、企業が技術部門に期待する幅(470〜650点)の上の方にあたり、TOEICの点数だけで他の応募者と差をつけるのは難しい水準だと編集部はみています。

TOEIC L&Rが測るのは聞く力と読む力で、話す力と書く力は TOEIC S&W(Speaking & Writing Tests)が別に測ります(IIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026」)。求人が書く会話やコミュニケーションの条件は、L&Rの点数だけでは示しきれない部分です。

TOEICの点数より伝わる英語の経験の書き方

英語の経験を転職で伝えるときは、TOEICの点数に加えて、英語で誰と何の仕事をしてきたかを職務経歴書に書く方が、求人の条件と照らし合わせてもらいやすくなります。求人が会話・ビジネスレベル・読み書きといった場面の言葉で英語を書いている以上、応募する側も同じ言葉で経験を示すのが、筋の通った伝え方です。

求人での英語の書き方

職務経歴書に書ける経験の例

ビジネスレベルの英語

海外拠点や海外の取引先との定例会議を英語で進めた期間と頻度、英語で作った提案や報告の資料

英語での会話・コミュニケーション

海外のメンバーとのコードレビューや設計の議論、英語のチャットでの障害対応

英語ドキュメントの読み書き

英語の公式ドキュメントや仕様書を読んで実装した機能、英語で書いた設計書・README・Issue

TOEIC

直近のスコアと受験した年月、話す力と書く力を示すなら TOEIC S&W のスコア

経験は、相手(海外のメンバー・顧客・ベンダー)、頻度(毎日・週1回など)、手段(会議・チャット・文書)の3点で書くと、求人の英語の条件と結びつけて読んでもらえます。英語で面接をする求人に応募するなら、担当したシステムの構成と自分の役割を、英語で2〜3分で説明できるように準備しておくと安心です。職務経歴書全体の組み立ては「エンジニアの職務経歴書の書き方」も参考にしてください。

TOEICの点数は、英語の実務経験がまだ少ない人が、英語の素地を示すときの補助の材料になります。点数を書くなら受験した年月も添えると、いつ時点の英語力かが伝わります。

働きながら英語の実務経験を積む方法

英語の実務経験は、今の仕事の中で英語を使う場面を意識して増やしていくのが近道です。業務で英語を使った経験は、そのまま職務経歴書に書ける材料になります。

  • 使っている言語やフレームワークの公式ドキュメントとリリースノートを、英語の原文で読んでから実装する
  • 業務で使うオープンソースに不具合を見つけたら、英語で Issue を書き、直せるなら Pull Request を送る
  • コードのコメントやコミットメッセージ、設計書の一部を英語で書く
  • 海外の開発者カンファレンスの発表を視聴し、内容を社内の勉強会で共有する
  • 海外拠点や外国籍のメンバーがいるプロジェクトに手を挙げ、英語の会議に出る機会をつくる
  • 今の英語力を測るなら TOEIC L&R、話す力と書く力も測るなら TOEIC S&W を受け、結果を次の学習の目安にする

英語で書いた Issue や Pull Request は、公開のリポジトリなら選考の場でそのまま見せられる材料です。会議やチャットの経験は、相手と頻度を記録しておくと、職務経歴書に書くときに具体的な数字で示せます。

エンジニアが英語力を年収につなげる転職の進め方

エンジニアが英語力を年収につなげるには、英語に触れる求人を必須と歓迎で読み分け、英語で仕事をした経験を職務経歴書に書いたうえで、年収帯の高い求人と比べることが要になると、Offers Magazine 編集部はみています。先に見た集計で、英語に触れる求人は年収の上限の中央値が触れない求人を90万円上回り、上限が1,000万円以上の求人の割合も57.9%と45.6%で差がありました(Offers(株式会社overflow)調べ・年収記載のある正社員求人 n=3,257・2026年10月集計)。

進め方

中身

求人の英語の条件を読み分ける

必須要件か歓迎要件か、ビジネスレベル・会話・読み書きのどれを求めるかを確かめる

TOEICの点数だけで探さない

点数を書く求人は少ないため、英語・English・海外などの語でも探す

英語の経験を職務経歴書に書く

相手・頻度・手段を具体的に書き、TOEICの点数は補助として添える

英語での説明を準備する

担当したシステムと成果を、英語で短く説明できるようにしておく

提示年収を交渉する

同じ条件の求人が示す年収帯を材料にして、提示額を確かめる

英語を使う求人は、海外の企業や外国籍のメンバーとつながる場でも見つかります。LinkedIn を使った探し方は「LinkedInを使った転職活動の方法」、転職で年収を上げる全体の流れは「エンジニアが転職で年収を上げる方法」、提示された年収の詰め方は「転職時の給与交渉のタイミングとプロセス」で確かめられます。

英語を使う求人を年収の条件と並べて比べるなら、Offers Jobs で求人票の必須条件・歓迎条件と提示年収を確かめるのが手早い方法です。会員登録なしで IT 職の正社員の公開求人を探せるので、英語の条件が自分の経験と合うかを、応募の前に見比べられます。