電子契約のメリットと注意点。導入前に理解しておきたい大切なこと

電子契約には書面での契約にはないメリットがあるため、多くの企業で利用されています。しかし、仕組みを理解していなければ正しく利用できません。電子契約を導入する前に基礎知識として理解しておきたい、メリットや注意点をご紹介します。

Offers」は、時代の変化や環境にあわせてスキルを磨きたい、そんな人にぴったりのサービスです。「副業・複業」で、本業では経験できない、新しい環境/開発スタイルを経験しよう!

→「Offers」をもっと詳しくみる!

電子契約とは何か

多くの人が日常でインターネットを使えるようになった現代では、ビジネスシーンで電子契約が用いられる機会が増えてきました。

多くの人々が電子契約のメリットを享受している一方で、まだまだ認知されていない面もあります。電子契約を正しく利用するために知っておきたい、概要やメリットを確認しましょう。

電子署名法は2001年4月に施行された法律です。この、電子署名法第3条では電子署名が手書きの署名や押印と同じ効果を持つ事が定められています。

インターネット上で電子署名し、契約を交わす

インターネット上にある電子ファイルを利用した契約が『電子契約』です。契約を交わす時には書類に署名や捺印をしますが、電子契約ではクラウドサーバーや企業のサーバー上のファイルに電子署名をします。

書類を直接渡したり郵送したりする手間がなく、インターネット上で完結させられるところが魅力です。

安全に契約を交わすには、悪意のある第三者に情報を改ざんされたり、情報が盗まれたりするリスクを考慮し、コンピューターの暗号技術を確実に利用する必要があります。

印紙代や紙代などのコスト削減ができる

業務請負に関係する書類や売上代金の受取書のような、課税対象となる契約書を取り交わす場合、紙面で交わす契約書には『収入印紙』が必要です。

法律上、契約書に印紙が必要になるのは『紙面で契約を取り交わした場合のみ』で、電子契約の場合は収入印紙が必要ありません。ペーパーレスでの契約となるため、紙や印刷に必要なインク代が必要ないこともメリットです。

日常的に契約を取り交わして業務をする場合、印紙代や書類作成にあたって必要な紙にかかるコストは大きなものとなります。電子契約を導入すれば印紙代や紙代が必要なくなるため、その分コスト削減につながるでしょう。

紛失リスクを回避できる

電子契約を導入するメリットはコスト削減だけではありません。重要な契約書の管理にかかる手間を削減できる点もメリットです。

書面で交わした契約書は、倉庫や事務所内に場所を確保して保管しなければなりません。契約書の種類や数が多岐にわたるほど、広い保管場所が必要です。契約書の紛失や情報流出を防ぐために、管理場所には気を使うでしょう。

一方、電子契約の保管場所はサーバー内にあります。契約書の名前・日付・契約先などで検索すれば必要な契約書をすぐに取り出せる上、バックアップ機能を万全にしておけば書類の紛失を防ぐことも可能です。

ただし、セキュリティーが低いサーバーでは意味がありません。セキュリティーが高いサーバーを利用すれば、契約書の紛失やその他の管理上のリスクを効果的に軽減できるでしょう。

榎本希

万が一トラブルになった際に証拠として契約書を提出することになるかと思いますが、民事訴訟法では文書については民事訴訟法第228条1項にて「文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない」と規定されています。そして、同法228条4項では「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」とされています。

電子契約法第3条によると「本人による電子署名がおこなわれているときは、真正に成立したものと推定する」となっています。

つまり電子契約で行う電子署名には紙の契約書と同じ効力があるということになります。

電子契約にデメリットはないのか

メリットばかりのように感じられる電子契約ですが、利用するにあたり注意しておきたい点もあります。電子契約を取り交わす前に知っておきたい、デメリットになり得る点をまとめました。

書面で契約する必要があるケースも

便利な点が多い電子契約ですが、一部の契約では利用できないこともあります。

たとえば、借地契約・投資信託・訪問販売・労働条件などに関連する一部の契約については、書面で契約書を取り交わすことが必要です。

契約書の種類によっては、電子契約の利用が認められていないものがある点を押さえておきましょう。

書面では可能なことが不可能となる

契約書を郵送した後、気が変わって契約を取り消したり見直したりしたいという気持ちになったとしても、配達前であれば郵便局に取り戻し請求をして郵便物を返してもらえます。

契約は相手方に意思表示が到達する前であれば撤回できるため、郵送の場合には相手方に到達する前に電話やFaxなどで撤回の意思表示を行う事もできます。

しかし、電子契約の場合は郵便を送る場合とは違い、相手に送信内容が届くまではほんの一瞬です。送信してお互いが合意すれば契約が成立します。

また、書面で交わす契約の場合、契約の締結日をある程度柔軟にしておけますが、電子契約の場合はそうはいきません。

契約日を実際の締結日より前の日付にしておけないため、契約の遅れはそのまま締結日の遅れになります。書面では可能だったことが、電子契約では不可能な場合もあることを覚えておきましょう。

榎本希

電子契約法が施行されたのが2001年ですが、まだ電子契約を導入していない企業なども多いのが現状です。

大企業などは導入しているところが多いですが、個人事業主や中小企業などではまだ契約書は紙の契約書で契約がなされる場面が多くあります。

また、契約の内容によっては紙の契約書でなければならない物があるので、すべての契約に電子契約が使用出来るわけではありません。

電子契約システム導入前に知っておきたいこと

コスト削減や書類を管理する上で大きなメリットがある電子契約ですが、導入を検討する際に知っておくべき点がいくつかあります。

導入を進めてしまってから後悔しないように、電子契約の背景や法律について学びましょう。

日本ではまだ一般的ではない

日本では古くから押印によって契約を成立させてきました。現代でも、社名や屋号が入った印鑑を作り、業務で使用する重要書類には捺印します。

IT化が進んだ現代でも、古くからの慣習とは外れた捺印のない契約書を取り交わすことに不安を覚える企業は少なくありません。どちらか一方が電子署名に対して不安を持っていれば、電子契約を利用した締結は困難になるでしょう。

電子契約に関する法律

日本には電子契約に関するいくつかの法律があります。たとえば、電子帳簿保存法・電子署名法などです。

紙面の契約書の場合、少なくても7年間は保管する義務があります。電子契約も電子帳簿保存法によって電子契約のデータを保存する義務があり、保存場所や保存期間といった要件を満たすことが必要です。

電子署名法には、電子署名による契約が法的に有効であることを示すために必要な水準が定められています。

万一、契約上のトラブルが起きても電子署名法を遵守した契約が行われていれば、裁判で有効な証拠として認めてもらえるでしょう。

榎本希

取引先が電子契約に対応していない場合があるということをまず考慮しておく必要があります。

また、システムについて自社でも知っておく必要があること、取引先に電子契約を打診する際にも電子契約システムについて説明できるようにしておくことが大切です。

電子契約については電子契約法に規定されていますので、導入する前に電子契約法について調べてみるのも良いかと思います。

電子契約システムを導入するまでの流れ

電子契約を業務に取り入れる前に、導入時のイメージを掴んでおきましょう。電子契約システムを導入するまでの流れをご紹介します。

電子契約サービスの選定

電子契約を手軽にスタートさせたい場合、電子契約の締結・書類の管理・検索などが可能な、電子契約サービスを利用してはいかがでしょうか。

セキュリティー対策が万全なサービスや、バックアップ機能が充実しているサービスを選ぶと安心です。管理機能やセキュリティー面の強化が手厚いプランほど使用料は高額になる傾向がありますが、その分ビジネスで安心して使用できる機能を備えているといえるでしょう。

実際に操作してみないと感覚が掴みづらい面もあるため、無料試用期間が設けられている電子契約サービスを選び、本格的な導入前に使い勝手を試してみることをおすすめします。

社内規定の整備

電子契約システムを導入するにあたり、問題となるのが社内規定です。どの部署で誰がどのように扱い管理するかという問題をはっきりさせておく必要があります。

スムーズに電子契約を業務に取り入れるには、印章管理規定の見直しや電子契約に関連したデータの扱い方にルールを設ける必要があるでしょう。

また、電子契約だけでなく従来の紙面での契約書も継続して利用する場合、業務の手順が混乱しないように社内規定を整備することが大事です。

クライアントの理解を得る

電子契約の運用にあたって、クライアントの理解を得ることは重要です。契約の方法に不安があれば、クライアントを失うことになりかねません。

新規クライアントだけでなく、これまで紙面での契約をしていたクライアントが不安を感じずに継続して契約できるように、クライアントの疑問点を解消する必要があります。

電子契約の概要や利用手順だけでなく、法的に問題がない点や誰の電子証明書が必要になるのかを事前に説明できるようにしましょう。

事務作業の効率化・コスト削減・コンプライアンス強化といった双方のメリットを交えて説明すると、理解を得やすくなります。

榎本希

まずは電子契約システムについて知りましょう。

その上で導入を決めた場合には電子契約サービスの選定を行います。

電子契約システムには様々な企業がサービスを提供しているので資料請求等して自社に合ったサービスを選定するようにしましょう。

また、導入した場合には社内で研修を行うなどして運用が円滑になるように整備を行いましょう。

自社が電子契約システムを導入したからといって取引先が導入しているとは限りません。そのため、取引先が電子契約に対応していない場合にはどのように対応するのかも事前に社内で決めておきましょう。

電子契約はどのように行われるのか

電子契約では機密性をアップさせることを目的として、データの暗号化をします。電子契約の安全性を知るために、仕組みを正しく理解しましょう。

公開暗号方式とは

電子署名で重要になる『文書が改ざんされていないこと』と『署名者本人が署名をしているかを確認すること』の二つを証明するために用いられているものが、公開鍵暗号方式です。

電子署名では、データを開けられる鍵と閉められる鍵の二つを使い、データのやり取りをします。

これらの鍵は『秘密鍵』と『公開鍵』と呼ばれており、契約を取り交わす双方の間でそれぞれ対になっていることが特徴です。

一方の秘密鍵で暗号化した文書は、対になっているもう一方の公開鍵でしか暗号化を解けない仕組みになっています。

ハッシュ関数に変換してから処理される

ハッシュ関数は、データの暗号化のために使われます。決められた長さの乱数を生成する演算手法を用いて導き出されるものがハッシュ値です。

ハッシュ値から元のデータを推測したり、同じハッシュ値を持ちながら内容が違うデータを作成したりすることは極めて難しいため、ユーザー認証や電子署名などに利用されています。

本人確認のやり方

公開鍵暗号化によって本人を確認するには、秘密鍵が確実に本人の持ち物であるという前提がなければ成立しません。

公開鍵暗号化の仕組みは『公開鍵基盤(PKI)』によって支えられており、申請者が認証局に電子証明書の発行を依頼し、本人確認書類や在籍確認を通じて申請者の身元を調べ、本人であることを確認しています。

第三者機関を利用することによって、公開鍵暗号を用いた電子証明の本人確認が成り立っていることを覚えておくとよいでしょう。

榎本希

電子契約で重要になるのは「秘密鍵」と「公開鍵」というキーワードです。

電子署名では文書が改ざんされていないことと、本人が署名しているかを確認することが重要になるため、この2つを証明するために用いられるのが公開鍵暗号式という方法になります。

そのため、秘密鍵の持ち主が本人であることが前提となります。

その本人あることを確認するため認証局に電子証明書の発行を依頼し、身元確認がなされます。

まとめ

電子契約はコスト削減や事務作業の手間を減らせるメリットがあります。一方で、契約書の種類によっては利用できない点や、インターネット上の取引におけるセキュリティー面の確保が必要な点がデメリットだと考えられるでしょう。

紙で契約書を交わす時と同じ感覚でいると、思わぬ失敗につながります。リスクを回避するには、電子契約に関する法律や暗号化の仕組みを理解しておくことが重要です。電子契約の知識を身に付け、正しく利用しましょう。

榎本希 [監修]

医療機関・医大の研究室にて長年勤務をした後、行政書士試験を受験。医療系許認可をメインに扱う行政書士として、行政書士のぞみ事務所を開業。再生医療関係の許認可・診療所開設・医療広告ガイドラインに基づく医療広告のチェック等の他、任意後見・契約書作成・起業支援を扱う。

Offers」は、時代の変化や環境にあわせてスキルを磨きたい、そんな人にぴったりのサービスです。

いくつもの転職媒体を使って、企業を探し回るのはもう終わり。「副業」から始まる新しい働き方を実現します!

本業では経験できない、新しい環境/開発スタイルを経験しよう!



この記事をシェア

関連記事


副業・フリーランス

プログラミング

インタビュー

デザイン

お金

採用・組織

グルメ