収入印紙とは?

領収書や契約書で求められる『収入印紙』は、切手と似た形状ながら、使った経験がない人もいることでしょう。収入印紙とは『印紙税』に分類される税金です。
収入印紙は、大きな金額の領収書を発行するときや、行政への支払い書類に貼ることで、『税金を納めている』という証明になっています。
収入印紙の具体的な内容や、購入場所などを基礎から解説しますので、社会人のマナーとして、しっかり覚えておきましょう。
文書にかかる税金
収入印紙は、貼り付けが必要な場面と、必要ではない場面があります。
一般的な取引であれば、5万円以上100万円以下の領収書発行で『200円の収入印紙を貼り付ける』と決められています。取引額が5万円以下の場面では、基本的に収入印紙は必要ありません。
不動産・鉱業権・無体財産権・船舶や航空機の営業の譲渡に関する契約書、または演出やプロデュースなどの請負は、1万円以上の取引から収入印紙の貼り付けが求められます。
郵便局やコンビニで購入可能
急に収入印紙が必要になったとき、どこで購入したらよいのか、知らない人も多いのではないでしょうか?
収入印紙を購入する場所として、最も一般的なのが『郵便局』です。種類も多く、欲しい金額はほぼそろっているので、急に必要になったときでも安心です。
ただし、平日の昼間しか営業していない郵便局もあるため、郵便局の営業時間外に必要になった場合は、コンビニで購入できます。『金券ショップ』は正規金額より少し安く購入できますが、取り扱い種類は多くないでしょう。
収入印紙に消費税がかかる場合も?
法律に定められているように『郵便局、郵便切手類販売所または印紙売りさばき所』で譲渡される印紙は、一般的に『非課税』です。『郵便局、郵便切手類販売所または印紙売りさばき所』以外で購入すれば、消費税がかかります。
印紙の買い方次第では、売り上げにかかる消費税から、印紙にかかる消費税を差し引くことが可能です。収入印紙の購入額が大きい不動産業や建設業は、最終的な消費税の納付額を抑えられるため、知識として知っておきたいですね。

榎本希
収入印紙は、印紙税という税金です。
法律で決められた課税文書に対して決められた金額の収入印紙を貼ることとなります。
課税対象となる文書や金額については国税局のHPで調べることが可能です。
収入印紙はコンビニでも購入することができます。コンビニで販売されている物は概ね200円のものがほとんどです。
高額の収入印紙を購入する際には郵便局で購入します。
なお、法務局でも収入印紙は販売されています。
記載金額に対する印紙の金額と種類

収入印紙は『記載された金額』と『内容』によって、細かく金額が設定されています。どのような内容と記載金額なら、いくら分の収入印紙を貼ればよいのか、ポイントをお伝えします。
収入印紙は全31種類
収入印紙には『1円』から『10万円』まで、全31種類あります。とはいえ、一般的な生活や職種であれば、使用する収入印紙の種類は、コンビニや金券ショップで取り扱いの多い『200円』の収入印紙に限られるでしょう。
切手と同じように、400円分の収入印紙が必要になった場合は、特別な指定がない限り、200円を2枚貼ることで代用可能です。
5万円以上の記載金額に対する印紙税の額
最も収入印紙を多く使う場面は、5万円以上の商品を購入したときの『領収書』です。これには、200円の収入印紙を貼るよう、法律で規定がされています。
注意しなければならないのは『商品代金のみで5万円』なのか、『消費税込みで5万円』なのか、領収書の記載によって収入印紙の必要性が異なるということです。
税法では『領収書や契約書などの課税文書において、本体金額と消費税が分けて記載されている場合は本体金額を印紙税の対象とする』と定められています。
領収書に『商品代金・消費税・合計』が記載されていた場合、合計が5万円超えでも、商品代金が5万円未満なら、収入印紙は不要です。
しかし、『商品代金(消費税を含む)』と記載されていれば、収入印紙200円が必要になると覚えておきましょう。

榎本希
収入印紙が必要となる文書や金額は法律で定められています。
身近な例では領収書ですが、こちらは5万円以上のものについては200円の収入印紙を貼ります。
しかし、消費税については収入印紙は必要がないため、税抜きの金額が5万円を超えていなければ収入印紙は必要ありません。
その他、契約書などにも収入印紙が必要な物があります。
請負契約の契約書などが該当します。契約書の場合には契約内容、契約金額に応じて2号文書と7号文書となり、2号文書は契約金額に応じた金額の収入印紙を、7号文書の場合には一律4000円の収入印紙を貼ることとなります。
印紙代を節約する方法

あまり一般的ではありませんが、50億円以上の取引をした場合、収入印紙代が48万円になる事項もあります。企業や個人事業主にとって、印紙代の節約は必須であるといえるでしょう。
平成20年10月24日に国税局が回答した『請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について』によると、『電子署名及び認証業務に関する法律』により、PDF契約書には収入印紙がいらないと決定されています。
いろいろな方法で、印紙代を節約できる方法をお伝えします。
振り込みやクレカ支払いを選択してもらう
契約書の電磁化によって収入印紙がいらないという、画期的な法律運用により、企業は積極的にオンライン決済を推進するようになりました。
現金取引では必須だった領収書を不要にすることで、収入印紙は免除されるため、取引先とは現金ではなく、オンラインでの決済を導入しましょう。
領収書はまとめて発行する
とはいえ、昔からの慣習で契約書を書面化しなければならない場合もあるでしょう。その場合は、領収書をまとめて発行することで、印紙代の節約になります。
領収書の印紙代は『5万円以上100万円以下』が200円で、『100万円超え200万円以下』が400円です。よって、5万円の領収書を2回切るのではなく、1回にまとめて発行することで、大幅な印紙代節約が見込めるでしょう。

榎本希
印紙代の節約としては、銀行振込やクレジットカード決済があります。
また、契約書などはこれまで紙ベースで行う事が多かったのですが、電子化に伴い電子書面での契約書を発行する機会も増えてきています。
電子書面での契約書の場合には収入印紙を貼る必要はありませんので、高額な契約金額の契約書や継続取引となる契約書などは電子書面で契約書を交わすことで印紙代の節約になります。
契約書を発行する機会が多い場合や高額な契約を交わす機会が多い場合には電子署名を行う事ができるようなシステムを導入し、電子書面での契約書を交付すると良いでしょう。
領収書についても、複数回同じ相手と取引を行う場合であれば都度領収書の発行をするより、まとめて発行した方が印紙代の節約になります。
まとめ
古くから日本の商取引において見慣れた収入印紙ですが、今は電子取引の普及により、使用する機会は減っています。
とはいえ、近代においても特に大きな取引の場合は、収入印紙が貼られた契約書が大きな効力を発揮します。社会人のマナーとして、収入印紙の種類や購入場所を把握しておきましょう。