確定申告には青色と白色がある

毎年実施される確定申告には『白色申告』と『青色申告』の二つがあります。
どちらも同じ確定申告ですが、両者にある違いとは具体的に何を指すのか、また、確定申告とは何のためにするのかを説明しましょう。
そもそも確定申告は何のためにするのか
確定申告とは、申告する年の所得にかかる税金の額を計算して納税する仕組みです。この手続きによって、税金を納めたり、逆に払い過ぎた税金が戻ってきたりします。
企業に勤める会社員の人なら、会社でまとめて手続きするため、自分で手続きをする必要はありません。
一方で、自営業やフリーランスの人は、自分で納税額を申告したうえで税金を納める必要があります。
青色申告は白色申告に比べ節税効果が高い
白色申告は、青色申告よりも申告が容易と言われています。申告する年の収入や経費などを『一括して申告できる』からです。
青色申告は、白色申告とは違い『貸借対照表』という取引先別の帳簿をつけて提出する必要があります。白色申告の手軽さに比べて手間がかかりますが、メリットもある方法です。
青色申告の主な特徴は、以下の通りになります。
- 青色申告特別控除が受けられる
- 家族従業員の給料を経費として計上できる
- 過去3年間の赤字を繰り越せる
- 貸倒引当金を経費にできる
青色申告による特別控除額は『65万円』なので、このぶんだけ節税が可能です。さらに、家族従業員への給与を経費にできるので、より高い節税効果が期待できるのも魅力と言えるでしょう。
また、青色申告は事業で出た赤字を過去3年まで繰り越せます。今年の所得が多いため、納税額が増えそうな場合でも、過去3年間に発生した赤字を繰り越せば、税金を減らすことが可能です。
さらに、青色申告では『貸倒引当金』を経費として計上できます。
貸倒引当金とは、万一取引先が倒産などをしたときに、貸したお金が回収できなくなるなどの想定によって発生する損害額のことです。経費として認められるためには『賃金の帳簿価額の合計の5.5%以下』を計上しましょう。
青色申告をする際には、事前に申請をして『求められる条件を満たしているか』の審査に通る必要があります。申請自体が認められるまでに時間を要するため、それまで帳簿も管理しましょう。
メリットが多い青色申告ですが、思い立ったらすぐにできるというわけではありません。

榎本希
確定申告は1月1日から12月31日までの間にどれだけの収入があり、どれだけの税金を納める必要があるかを申告する手続です。
確定申告には白色申告と青色申告がありますが、節税効果としては青色申告の方が高いです。
青色申告では最大で65万円の青色申告特別控除が受けられる、家族を従業員として給与を支払う場合には経費にできる、赤字の繰越や貸倒引当金を経費にできるなどの特徴があります。
青色申告をするには事前に申請書提出が必要

青色申告を利用した確定申告には、事前の申請が必要です。ここからは、申請作業について解説します。
国税庁のHPから申請書をダウンロード
所得税の青色申告承認申請書は、国税庁のホームページでダウンロードできます。書類に必要事項を記入して提出しましょう。
この申請が1度通ると、後は、自動的に青色申告で申告できるようになります。
副業でも開業届は提出しよう
青色申告をする際は『開業届』の提出が必要です。
開業届は、提出しなくても特に罰則はありませんが、提出すると、青色申告で確定申告ができるだけではなく、社会的信用も増すなどのメリットもあります。
申告の際には、開業届けも提出するとよいでしょう。また、副業でも個人事業主になる場合は開業届が必要です。
税務署に申請書を提出する期限は?
青色申告の事前申請には期限があります。基本は『青色申告したい年の3月15日』までです。
ただし、新規で開業した人は『開業してから2カ月以内』に申請が通ると、青色申告が認められます。この期間内に申請を忘れてしまった場合は、その年は白色申告のみでの申告になるでしょう。

榎本希
確定申告には白色申告と青色申告があります。
白色申告の場合には特に手続は必要がありませんが青色申告を行う場合には事前に青色申告承認申請書の提出が必要となります。
提出期間が決められており、青色申告を行いたい年の3月15日まで、年度途中の開業の場合には開業日の2ヶ月以内に提出を行う必要があります。
申請用紙は国税庁のHPからダウンロードすることも可能です。
青色申告申請書の書き方と注意点

次は、青色申告申請書の具体的な書き方と、申請するにあたって注意すべき点を解説します。
所得の種類を確認しよう
青色申告は、どのような所得に対しても適用されるわけではありません。青色申告が認められる所得は、以下の3種類です。
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
このうちどれかの所得を得ている個人事業主が申請できます。
ちなみに、申請できないのは以下の所得を得ている人です。
- 給与所得(サラリーマンの給与)
- 退職所得(サラリーマンの退職金など)
- 譲渡所得(土地の譲渡になどによる所得)
- 配当所得(株の配当などのよる所得)
- 利子所得(預金の利子などからくる所得)
- 一時所得(ギャンブルや保険金などの所得)
- 雑所得(年金など)
特別控除を受けたいなら複式簿記をチェック
帳簿のつけ方には『単式簿記』と『複式簿記』の2種類があります。そこで、まずは、両者の違いを簡単に説明しましょう。
単式簿記は、お小遣い帳にも見られるような簡単な書き方で『何にいくら使ったのか』と『いくらお金が入ったのか』が分かればよいものです。
複式簿記は、単純に現金の動きだけではなく、動いた原因までを記載します。青色申告特別控除を受けるには、複式簿記で所得や経費を記録する必要があるのです。
備付帳簿名の欄は8項目を選択
所得税の青色申告承認申請書には、自分の氏名をはじめ、記入することがいろいろあります。特別控除を受けるなら『備付帳簿名』の欄に注目しましょう。
この欄には、備え付ける書類に『レ点』をつけるチェックボックスがあります。以下のものを用意しましょう。
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- 現金出納帳
- 売掛帳
- 経費帳
- 買掛帳
- 固定資産台帳
- 預金出納帳
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
このように必要な項目をあげてみると、用意するのは、大変な作業に思えるかもしれません。しかし、最近は『会計ソフト』なども多く出回っているので、十分な知識が無くても作ることは可能です。

榎本希
青色申告承認申請書の記載方法の注意点としては自分の所得が青色申告ができる所得であるかどうかがまず1つめとなります。
事業所得・不動産所得・山林所得の3つが青色申告を行う事ができる所得となります。
次に、青色申告特別控除を受ける場合には複式簿記を選択する必要があります。備付帳簿名欄は8項目にチェックをすることを忘れないようにしましょう。
複式簿記での帳簿作成は複雑なイメージがありますが、最近では簿記の知識がなくても簡単に帳簿作成から確定申告書類の作成ができる会計ソフトもあるので活用すると良いでしょう。
まとめ
確定申告における白色申告と青色申告の違いや、青色申告の手続きの流れを解説しました。青色申告は、複式簿記での記入や事前の申請が必要ですが、そのぶん高い節税効果があります。
事業が大きくなればなるほど、節税対策は重要になるので『節税をするかしないか』で、事業の未来も変わっていくかもしれません。
この機会に青色申告の仕方を覚えて、事業主としてステップアップしましょう。