会社が副業を禁止するのは違法?過去の判例をご紹介。

これまで副業禁止の企業が数多くありましたが、ここ最近、副業を解禁する企業も増えてきました。そもそも副業禁止は、法的に許されていることなのでしょうか。副業の禁止には、違法になる場合とならない場合があります。

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副業とは何か

そもそも副業とは何でしょうか。すでに副業をしている人も、これからする人も、副業の定義を自信をもって答えられる人はあまりいないでしょう。なぜなら、副業という言葉の定義は、法律上定められていないからです。

では、どのような仕事や働き方を、一般的に副業と呼ぶのでしょうか。本業以外の仕事で収入を得るために、継続的に行う仕事のことを副業と呼びます。副業は、働き方によって、アルバイト、在宅ビジネス、内職などがあります。

就業規則とは何か

就業規則とは、会社側が定めた、働く上での社内ルールや労働条件が書かれた書類です。労働時間や給料をはじめ、退職に関するルールなど、労働者が働く上で守らなければならないことが具体的に細かく記載されています。

また、ルールを守らなかった場合には、減給したり、退社させられたりといった制裁規定も書かれています。就業規則の作成は、労働者に対して守られるべき権利について定められた法律「労働基準法」にて、「常時10人以上の労働者を抱える会社では、就業規則を作成しなければならない」と義務付けられています。

なぜ就業規則で規制できるのか

就業規則は、労働基準法に基づいて定められています。労働基準法は、労働条件の最低基準を定めた法律です。つまり、就業規則は、基本的には労働者を守るためのルールになっているのです。そのため、労働者は、労働条件に不満があっても、就業規則で決められていることは必ず守らなければいけないのです。

モデル就業規則での変化

モデル就業規則は、厚生労働省から出されているものです。企業が就業規則を作成するとき、このモデル就業規則をモデルにすれば、労働基準法に違反しない就業規則を作ることができます。モデル就業規則の中には、副業に関する規定も存在します。

従来のモデル就業規則の中では、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」とありました。しかし、2018年1月にモデル就業規則が改定され、副業についても「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」と変更されました。

この改定の背景にあるのは、政府がもつ、少子高齢化社会によるさらなる労働力不足への危機感です。この政府の対応に、副業解禁に乗り出す企業も多くあります。

しかしながら、企業側の反対意見として、情報漏洩のリスクが高まるなどの懸念もあげられています。そのため、モデル就業規則には、副業を認める文言だけでなく、企業が副業を禁止する場合の例外規定も盛り込んであります。

副業の禁止が許される3つの場合

モデル就業規則の改定により、副業が認められた形となりました。しかし、まだまだ、副業を禁止する企業もあります。企業側の不安を解消するために、副業を認める一方で、副業の禁止が許される条件をモデル就業規則に記載しています。

合法的な理由があれば、就業規則に副業の禁止を記載することができるのです。その理由とは、本業に悪影響が出る場合と副業が本業と競合している場合、そして、会社の信用を失墜させ得る場合の3つです。

本業に悪影響が出る場合

本業に悪影響が出る場合には、副業を禁止することができます。例えば、長時間労働の副業をして、労働者の睡眠時間が短くなり本業に差しさわりがでる場合などです。身体的疲労だけでなく、精神的な疲労によっても、本業に集中できないなどの悪影響が出る場合、副業を禁止することができます。

副業が本業と競合している場合

副業が本業と競合している場合には、副業を禁止することができます。勤めている会社と競合している会社で副業として働いてしまうと、企業秘密が漏洩したり、企業の利益を害したりする場合があります。売上の減少、取引先との関係悪化などが考えられるため、副業を禁止することが認められています。

会社の信用を失墜させ得る場合

会社の信用を失墜させ得る場合にも副業を禁止することができます。副業にて、犯罪行為を行ったり、反社会的勢力に関わりをもったりした場合には、本業においても辞めさせられることがあります。そのような従業員が働いていたとなれば、会社の信用を失墜させることが容易に想像できるからです。

副業の禁止による処罰が違法になった判例

これまで、日本の企業では、ほとんどの企業が副業を禁止してきました。モデル就業規則においても、当たり前のように、副業禁止規定が記載されていましたが、副業の禁止は、実は多くの裁判例で否定されているのです。

これまでに、副業の禁止による処罰が違法になった判例をいくつか挙げてみましょう。一つは、本業への悪影響が認められなかった例です。そして、もう一つは、会社への損害が認められなった例です。

本業への悪影響が認められなかった例

副業の禁止が認められなかった判例として、「東京都私立大学教授事件」があります。ある教授が無許可で語学学校講師などの業務に従事し、講義を休校したことを理由として、大学側は教授を懲戒解雇にしたのです。これに対して裁判所は、副業は夜間や休日に行われていて、本業への支障は認められず、解雇無効としました。

もう一つの判例は、「十和田運輸事件」です。運送会社の運転手が、年に1,2回貨物運送のアルバイトをしていたことを理由に、会社側は運転手を懲戒解雇にしました。これに対して裁判所は、職務専念義務違反(職務に専念せず逸脱した行動を取ること)や信頼関係を破壊したとまではいうことはできないとして、解雇無効としました。これらの判例は、本業への悪影響が認められなかった点がポイントです。

会社への損害が認められなかった例

次に、会社への損害が認められなかった点がポイントの判例を2つ挙げてみましょう。1つは、「マンナ運輸事件」です。運送会社の準社員が、会社へアルバイト許可申請を4度にわたってしたのですが、会社側がすべて不許可にしたのです。これについて、裁判所は後2回については不許可の理由はなく、不法行為に基づく損害賠償請求を一部認めると判断しました。

もう1つは「国際タクシー事件」があります。この事件は、父親が経営する新聞販売店の業務に従事していたタクシー運転手が、販売店への通勤にタクシーを使用していたことが就業規則の兼職禁止規定に違反するとして、タクシー会社がこの運転手を懲戒解雇したというものです。これに対して裁判所は、禁止されている兼職には該当しないとして、懲戒解雇は無効だと判断しました。

副業の禁止による処罰が妥当だと判断された判例

就業規則で、副業を禁止することは法律違反になります。しかし、合理的な理由がある場合には、副業の禁止が認められます。副業の禁止による処罰が妥当だと判断された判例も2つご紹介しましょう。1つ目は会社の信用を損ねたケース、2つ目は本業と競合する副業をしていたケースです。

信用を損ねたケース(風俗で働いていた場合)

本業の会社の信用を損ねたとして処罰された判例として、「小川建設事件」があります。これは、会社の正社員が、勤務時間外にキャバレーで会計係をしていたことが会社に発覚。会社は二重就職を理由として社員を懲戒解雇したところ、社員は解雇を無効として会社を訴えたという事件です。

これに対して、裁判所は次の2つの理由から、解雇は妥当という判決を下しました。1つ目の理由は、副業の時間が長時間にわたり、本業に差し支える恐れがあることです。2つ目の理由は、社員が風俗業に関わっていることが取引先等に知られた場合、会社の信用を損ねる可能性があることです。

競合する副業をしていたケース

競合する副業をしていたとして処罰された判例として、「東京貨物社事件」があります。東京貨物社事件は、ある会社員が勤務先会社と同業の会社を設立し、勤務先会社と競合する副業を行っていたところ、勤務先会社は、就業規則の規定に違反したとしてこの会社員を懲戒解雇したというものです。これに対して裁判所は、明らかに就業規則に違反するとして解雇を認めました。

公務員の副業禁止規定

一般企業では、就業規則で副業について規定されますが、公務員の場合、法律で規定されます。その法律とは、国家公務員法と地方公務員法です。国家公務員の場合は、国家公務員法第103条と第104条に、地方公務員の場合公務員は、地方公務員法第38条に細かく記載されています。

公務員は、国に奉仕する立場であり、外部への情報流出や公務への支障が許されません。公務員は、国民からの信頼を絶対に失ってはいけないため、法律でしっかりと規定されているのです。しかし、公務員でも副業が認められる場合があります。副業が合法になる場合と違法になる場合を順に見ていきましょう。

合法になる場合

公務員でも問題なくできる副業がいくつかあります。一つは、家業の手伝いが挙げられます。公務員は事業者になることができませんが、就業時間外に家業を手伝うことで報酬を得ることは認められる場合が多いです。

他に公務員の副業として挙げられるものとして、株式投資があります。ただし、家業の手伝いも株式投資も、本業である公務員の仕事に支障をきたすと処罰の対象になってきます。

違法になる場合

不動産賃貸業も、公務員の副業として問題ないでしょう。不動産賃貸業は、規模が一定以下の場合は副業とみなされません。一定以下の場合とは、一軒家の場合は5棟以下、賃貸マンションやアパートの場合は合計室数が10室以下の場合です。

このような小規模な不動産賃貸業は、副業とみなされないので、許可を得る必要がありません。ただし、不動産による賃貸収入が、年間500万円を超えている場合には副業とみなされ、違法となってしまうので注意が必要です。

まとめ

副業が禁止されるのには主に3つのポイントがあります。副業が許可されているときでも、この3つのポイントに留意して、副業をするようにしましょう。

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