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請負とはどういう契約?類似の形態との違いや契約時の注意点まとめ

2019-07-05

個人の働き方が多様化する現代社会において、会社と雇用契約を結ぶ会社員だけではなく、フリーランスとして請負契約を結ぶ人も増えています。請負とはどのような契約なのでしょうか。類似の形態との違いや、契約の際の注意点について説明します。

この記事の目次

請負とはどんな契約か

政府の掲げる働き方改革の影響もあり、最近は会社員として働く以外にも、働き方の選択肢が増えています。実際に副業を始めたり、会社から独立してフリーランスとして活動を始めたりする人も多く、『請負契約』という言葉を耳にする機会も多くなってきました。

これまで会社員として働いてきたのであれば請負契約に触れる機会は多くはなく、具体的なイメージが持てない場合も多いでしょう。

いったい請負契約とはどのような内容なのでしょうか。ここでは請負契約の特徴や具体的な内容について説明します。

成果に対して責任をもつ

請負契約は民法632条に定められている個人対個人の契約の1つです。ある業務を受注した者が委託された業務の完成を約束し、業務を発注した者はその成果物に対して報酬を支払うという内容です。

また請負契約は、成果物に対する『瑕疵担保責任』を負うという特徴があります。瑕疵担保責任とは、納品した成果物に通常では発見できないような問題があることが発覚した場合に、代金の減額や損害賠償などの対応をするというものです。

依頼された仕事を完成させて報酬の支払いを受けるので、取り組んでいる仕事の成果に対して、自ずと責任を持つ必要があります。

報酬発生は検収の後

請負契約では、あくまで受注した仕事を『完成させること』が受注者側に与えられた役割です。発注者側は完成した成果物に対して報酬を支払う義務が生じることから、報酬が発生する時期はあくまで完成した成果物を受け取り『検収』を行なった後です。

したがって、たとえ完成した仕事が受注者側から納品されても、検収の結果、完成と認められなければ報酬が発生しない可能性もあります。請負契約を締結すると、受注者側は仕事の完成度や質などに細心の注意を払う必要があるのです。

請負契約のその他の特徴

請負契約は、会社側と従業員が結ぶ『雇用契約』と比較して、受注者側に不利な契約に見えるかもしれませんが、メリットもあります。受注者が高いスキルを持ち、質の良い成果物を納品すれば、交渉次第で金額設定を高くすることも可能です。

また成果が出さえすれば、その他のことには拘束されません。働き方や労働時間などを自由にコントロールすることができます。

禁止されている場合が多い兼業も、請負契約では特に禁止されることはなく、フリーランスにとって都合の良い側面も有しているのです。

業務委託について

在宅ワークを始めるにあたり、仕事の発注者側から『業務委託』の契約締結を求められる機会があるかもしれません。業務委託とは、その言葉のとおり、本来自らが行うはずの特定の業務を、他者に依頼して行なってもらう内容の契約です。

ここでは、業務委託と請負契約の違いや、法律についてなどを具体的に説明します。

業務委託と請負の違い

業務委託は、発注側と受注者側との個別契約を締結する際に使われることが多い言葉です。正確には請負契約と委任契約の2つの意味を含んでいます。つまり業務委託には請負契約も含まれるのです。

業務委託と請負契約では受注者側に求められる内容が異なるので、契約の際には、どちらに当たるのかをきちんと認識する必要があります。

両者の違いを認識しないまま話が進み、後々トラブルに発展するケースもあります。仕事を受ける際は、契約を締結する前にきちんと契約書に目を通すことが必要です。

業務委託に関する法律

業務委託という言葉は法律にはありませんが、関係するのは『請負契約』や『委任契約』に関する法律です。

しかし実際のビジネスの現場において締結される業務委託は、請負契約か委任契約かの判断が難しく、契約書の中に個別具体的に定められることが多いようです。

また業務委託は雇用契約ではないので、労働法の適用がないといった特徴があります。労働法には法定労働時間の制約や最低労働賃金、失業保険や解雇規定など、労働者側を保護する内容が用意されていますが、これらは業務委託の場合には当てはまりません。

準委任契約について

次に委任契約について解説します。委任契約は、請負契約とは異なり『成果物』を納品して検収してもらうという形の契約ではありません。成果に対して責任をもつのではなく、『業務を行うこと』自体に責任を持つ契約です。

委任契約とは法律行為を委任する場合に限られる言葉なので、法律以外のことを委任する場合は『準委任契約』という名称になります。

民法上にも準委任契約の規定はあり、法律行為以外の一定の事務処理を依頼する際に締結されることが多いです。特にIT業界では頻繁に結ばれています。ここでは、準委任契約の内容についてさらに詳しく説明します。

SES契約と呼ばれることも

ウェブ開発やシステムの設計・運用など、IT系の業務を行う際に結ばれることも多いのが準委任契約の特徴です。

依頼主の企業にエンジニアが駐在して、システム運営などの作業をする『客先常駐』の案件では準委任契約を結ぶことが多く、これらは『SES契約』(システムエンジニアリング契約)と呼ばれることもあります。

受注者に指揮命令権がある

指揮命令権とは、業務に関する指示を行う権限です。雇用契約の場合には、会社が従業員に対して指揮命令権を持っています。つまり会社の指示した勤務時間や業務の進め方などのルールに従って業務をしなければなりません。

一方、委任契約・準委任契約の場合、会社側に指揮命令権はありません。業務の指揮命令権は受注者側にあり、業務の進め方や作業場所、作業時間などは受注者側が自由に決めることができます。

支払いは人月単価

準委任契約の支払いの計算に用いられるのは『人月単価』という考え方です。人月単価とは、1人に対して1カ月に支払う報酬の目安です。

例えば、準委任契約によって人月単価50万円のエンジニアを2人契約すると、1カ月あたりの報酬が50万円×2人で100万円ということになります。スキルや経験によって人月単価は変わり、高いスキルを持ったエンジニアであれば100万円以上ということもあります。

派遣契約について

これまで紹介した契約に比べて、比較的、一般的にも耳にする労働契約が『派遣契約』です。派遣契約では派遣元から、指定された派遣先の会社に派遣されて、その会社の中で仕事を進めます。

前述のSES契約も、客先に派遣されるという点では似ているので、両者の違いを把握しておくことが重要です。ここからは、派遣契約の仕組みや派遣の種類、さらにIT派遣の特徴などについて詳しく説明していきます。

派遣契約の仕組み

派遣契約とは、エンジニアなどの労働者が派遣元である派遣会社に登録し、指定された派遣先で仕事を行うという契約形態です。主に派遣先企業が自社の業務の穴埋めや人員確保を目的として派遣社員を受け入れます。

派遣契約の内容は、労働者派遣法に従って規定されています。派遣社員に対する指揮命令権を持っているのは派遣先の会社、つまり実際に仕事をしている会社です。

一方の請負契約や委任契約・準委任契約の場合、前述のとおり指揮命令権は受託者側にあります。両者の違いを認識しておきましょう。

派遣の種類

派遣の種類は大きく分けて三つあります。以下のとおりです。

  • 一般派遣:派遣会社と雇用契約を結んでいる『登録スタッフ』が派遣先で仕事を行う
  • 特定派遣:派遣会社と雇用契約を結んでいる『社員』が派遣先で仕事を行う
  • 紹介予定派遣:派遣期間が終了したのち、派遣先企業と派遣スタッフが双方の合意のもと直接雇用契約を結ぶことを前提とした派遣

登録制である一般派遣は基本的に時給で給与が支払われるのに対し、社員として契約している特定派遣では、月給制で給与が支払われるという違いがあります。

IT派遣の特徴

IT派遣の世界では『客先常駐』という言葉が頻繁に使われます。自分が雇用されている会社内で働くのではなく、出向社員として別の会社に派遣されて業務を行うのです。

自分の会社に社員として属した状態で他の会社へ派遣されるので、SES契約とは異なり社会保険などに加入できるというメリットがあります。

偽装請負について

請負契約に関係するキーワードとして『偽装請負』というものを知っておきましょう。偽装請負に巻き込まれると、条件の悪い状況で働くことになるなど、さまざまな問題につながります。偽装請負とは何なのか、詳しく見てみましょう。

偽装請負とは

契約上は請負契約であるにもかかわらず、その労働状況や、指揮命令権の所在から、実質上は派遣契約のようになっているというケースがあります。契約内容とは実態が異なることから、このような雇用状態は『偽装請負』と呼ばれます。

派遣契約は『労働者派遣法』の対象なので、多重派遣ができないなどのさまざまな規制があります。それらの義務や制約を免れるために偽装して、請負契約を締結するということがあるのです。

偽装請負では、実態と異なる契約を結ぶことになりますから、さまざまなトラブルが生じる可能性があります。偽装請負は発注者と受注者の責任の所在が曖昧になることから、労働者の安全な労働環境が確保できなくなる危険があるのです。

偽装請負は実態で判断される

偽装請負なのか派遣契約なのかという判断には、派遣先企業であるクライアントと労働者の間に『指揮命令関係』があるのかどうかが関係しています。両者の間に実態として指揮命令関係があれば、法的には派遣契約を締結する必要があります。

そのような実態がありながら派遣契約ではなく請負契約を締結している場合は、適切な契約を結んでいるとは言えず、労働者派遣法や職業業安定法に違反する可能性が出てきます。

偽装請負に関する法律と罰則

IT業界に蔓延している偽装請負は、労働者派遣法や職業業安定法44条の『労働者供給事業の禁止』に該当します。

労働者派遣法には派遣元に対する罰則規定はありませんが、職業業安定法44条には派遣元に対する罰則の規定があり、『1年以下の懲役または100万円以下の罰金』が課されることが明記されているのです。

罰則の他に『行政処分』が課される場合もあります。偽装請負は法律違反であり、重い罰則が課される可能性があるので注意しましょう。

契約書について

ビジネスにおいて契約書の存在は非常に重要です。ビジネスの現場では『予防法務』という概念が浸透しており、法的な争いが発生しないように、あらゆる可能性を想定して事前に契約書が作成されます。

しっかりとした契約書があれば事前にトラブルを回避できますが、契約書がない場合や中途半端な契約書を作成した場合、問題が大きく発展する可能性もあります。

ここでは、契約書の必要性や、契約書作成の際の必要な項目、収入印紙の額について具体的に解説します。

契約書の必要性

法律上契約は書面で結ぶ必要はなく、口頭でも結ぶことは可能です。業界によっては契約書を交わすことなく取引が決まるケースもあるようですが、後々トラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。

契約書を作ることでトラブルを未然に防ぐことができます。また万が一トラブルが発生した際も、契約書があれば契約内容を法的に証明できることから、自らの言い分を主張する際の大きな武器になるのです。

必要な項目

契約書を作成するにあたり、契約の内容や種類によって契約書の記載事項は異なります。しかしどのような内容であっても、契約書の中に必ず記載する基本項目がいくつかあるので覚えておきましょう。

請負契約の契約書に記載するべき必須項目は、以下のとおりです。

  • 代金支払い方法
  • 納品方法
  • 検収方法
  • 契約の解除
  • 瑕疵担保責任
  • 原材料費の負担

契約の解除の手順や条件、瑕疵担保責任の範囲など、請け負う業務に関する条件や責任の所在を明らかにするために、これらの項目を契約書に記載します。

収入印紙の額

請負契約の契約書は基本的に2号文書に該当するので、契約金額に応じた収入印紙を貼ることになります。以下に収入印紙の金額と、契約金額の対応表を引用しますので参考にしてください。

契約金額 収入印紙税
1万円未満 非課税
1万円〜100万円 200円
100万〜200万円 400円
200万〜300万円 1000円
300万〜500万円 2万円
500万〜1000万円 1万円
1000万〜5000万円 2万円
5000万〜1億円 6万円
出典:印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

クラウドソーシングで留意するポイント

インターネットの発達により、パソコンやスマホがあれば行える仕事も増えています。それと同時にインターネットを通じて労働者と会社をつなぐクラウドソーシングを利用する人の数も、年々増加傾向にあるのです。

クラウドソーシングでは、請負契約での仕事が多く募集されています。ここではクラウドソーシングを利用する際に留意するポイントについて、いくつか紹介します。

匿名性や不透明性を考慮

クラウドソーシングでは多くの場合、仕事の発注者と受注者が直接会うことはありません。クラウドサービスを介し、インターネット上でやりとりをしながら業務を進めます。互いの情報が少なく、不安に感じる場合も少なくありません。

クラウドソーシングは企業だけでなく個人でも気軽に募集できるサービスなので、本名や会社名を明かさず、匿名で募集している場合も多いです。仕事内容の説明があいまいで、不透明な場合もあります。

相手が信用できるかどうか、過去のレビューなどを確認しましょう。仕事内容が少しでも怪しいと感じたら応募しないようにすることも重要です。

コミュニケーションにおける齟齬

直接会って取引できる場合と異なり、クラウドソーシングサービスはネット上でのやりとりが主になります。ネット上のやり取りは、注意しないと互いのコミュニケーションに齟齬が生まれる可能性もあります。

チャットやメールで用いる文面にはよく注意し、誤解やトラブルに繋がらないように注意しましょう。

責任の所在を明確に

クラウドソーシングはパソコンやスマホさえあれば気軽に利用できることから、実際に仕事に取り組むにあたり、自分の責任の範囲を認識しづらい面があります。

クライアント先が目に見えないこともあり、自分が行う仕事がどのように会社に組み込まれるのかをイメージしにくい側面があるのです。できる限り仕事に対する責任の所在を明確にして、プロ意識を持って仕事に取り組む必要があります。

まとめ

働き方が多種多様になり、企業との契約関係も、請負契約などの業務委任契約を締結する場面が多くなりました。

フリーランスは請負契約を結ぶことで、自分のスキル次第で高い報酬を得ることができ、場所や時間に拘束されずに働けるなどのメリットがあります。

その一方で、請負契約は労働法が適用されないことから、解雇規定や失業保険などの手厚い保護が受けられず、収入も不安定な面があるので注意が必要です。請負契約を結ぶ際は、契約内容をきちんと確認するよう心がけましょう。

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